呪縛。【刀剣乱舞】【成り代わり】 (ページ14)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:82,365 hit

◆ ページ14

一分、数え終わった。

『さて、探し始めようか。
っと、その前に。』

自分の戦装束の白装束と上着を脱ぎ、一期一振の方を向く。

『これ、持っていてもらってもいいかな？』
「私が……よろしいのですか？」

戸惑いながらも受けってくれる一期一振は、どこでも優しい刀だ。
あの(石切丸の)件の後、落ち込んでいた僕の世話を焼いてくれたのは、一期だった。

『まだ、本体は預けられないけど……。
僕がこの本丸に馴染むための、第一歩ということにしてよ。』

そう言って微笑んでみせた。

「！、承りました。弟達のこと、よろしくお願いします。」
『あぁ。』

服も預けて、身軽になった。

『さて、全員見つけてみせよう。』

◇◇◇

庭の低木の影に秋田くん、桜の木の側に五虎退、縁側の下に愛染くん、江雪さんの袈裟の下に小夜、屋根裏に前田と平野、屋根の上に厚、押入れの中に乱、厨の近くで今剣を見つけた。
残るは薬研。

ここの審神者の初鍛刀が薬研らしく、短刀たちの中でも一番練度が高いらしい。

負けてられないなぁ。

中庭で目を閉じ、意識を集中させる。

まだ探してないのは、離れと裏山。
だが、薬研が移動もせずにじっとしているとも思えない。

どこだ？

裏山は、見つかり難いが、昼餉の時間になるのがわかりにくい。
終了の合図がわからないのは困るし、昼餉に遅れて説教は勘弁してほしい。

厨は、今は光忠と歌仙が、昼餉の準備をしている。
邪魔になってはいけないと考えて、居ないだろう。

各部屋も、僕の気配を感じた時に、逃げ場がない。
厨よりはあり得る選択肢だが、少し違う気がする。
同じ理由で離れもなしだ。

ならどこだ？

僕が行かないだろうと思う所。

まさか、

『審神者部屋？』

薬研も意地汚いなぁ。

早足で審神者部屋に向かった。

『雲雀、失礼するよっ！』

ースパァン

襖を勢いよく開けた。
そこに居たのは、

「え、え？！」

戸惑う審神者。

間違えたか？

否、そんなはずはない。

『屋根裏……かな？』

ーカタッ

頭上から小さな音がして、薬研が飛び降りて来た。

「バレちまったな。」
『潔いのは好きだよ。』

見つけた。

『君で最後だ。』

してやったり、と笑ってやる。

「！、やられた。降参だ。」
『みんなは庭に集まってるよ。捕まったって報告して来たら？』
「あぁ、そうする。」

薬研は軽い足取りで部屋を出て行った。

『すまないね、仕事の邪魔をしてしまった。』

状況を把握したのか、落ち着いた雲雀。

「丁度いい。青江に話がある。」