<<読者様3000人記念>> Blue 【Jun Matsumoto】 第１章

40. 解けない魔法 ページ40

”キセキ”って言ってくれたあなた。


うん。そうだね。ホントに。


....でもね。




私にはもうとっくに
奇跡は起きているんだよ。

数え切れないたくさんの人たちを、
その行き先を明るく照らす
シリウスのようなあなたと。

名もなき無数の星たちの
１つみたいな私が。

こうして出逢って
同じときを重ねているキセキ。

これ以上のミラクルなんて
私にはもうないよ....





....なくってもかまわないな...







「積もるかな？」

「....ならいいよね。」


「もう寝なくちゃ、冬桜子さんは
　クマできそだな(笑)」

「もーー(＞＜)ハイハイ....」

「....眠れそうか？」

「.....うん。もう大丈夫。
...ありがとう...」




冗談言いながらもさりげなく
心配してくれる潤くんにキュンとくる。

手のひらをつと空に向けると
そのうえに舞い落ちてくる小さな雪。






きっとこれはあなたが
かけてくれた魔法の時間。

朝になったらはかなく
消えてしまう幻だから。



だからもし。こんな夜に
願い事がたった１つ叶うとしたら。




...このまま夜なんて
明けなきゃいいのに。

ずっと２人で同じ空見上げて
この夜をさまよっていたいよ。





もう何も言葉なんて出てこなかった。
....ううん、いらなかった。




ただただ舞い落ちてくる雪を
いつまでも２人見つめていた。









長い長い静寂の中、
そっと口を開いたのは潤くんだった。








「...明日俺オフなんだ。
...会える...？」







魔法はまだ解けない。



今見えるのは、聞こえるのは
私に降り注ぐ雪と、優しく甘い
あなたのささやくような声だけ。









「...うん」







もう何の迷いもなく
返事をしていた。

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