<<読者様3000人記念>> Blue 【Jun Matsumoto】 第１章

25. 新しい夢 ページ25

思わず後ろに一歩のけぞって。
つまづいて。
ヘタヘタとその場に
座り込んでしまった私。

そんな私を見てケラケラと
笑い始めた潤くん。



「あははは♪面白れーな、
　冬桜子さんって(笑)」




そうして鼻歌歌いながら、
ブランコで遊んでいる杏桜子の方へと
潤くんは歩き始めた。



....今、いったい
何が起こった...の...？...




潤くんが。私の携帯で。
潤くんの携帯が出てきて。

....データ交換...
うそっっ...！！





大あわてて自分の携帯の
アドレス帳を開く。

ま行....
そこには「松本潤」という
３文字....

うそでしょ...？！



携帯画面と、遠ざかっていく
潤くんの後姿を交互に見比べて。

そうしたら、訳もわからずに、
次の瞬間思わず叫んでしまっていた。




「ねぇ...っ！」

「ん？」



私の声に振り帰った潤くん。




「夢ってね....」

「.....？」

「夢って。叶うと
どうなるの...かな...？」





突拍子もない私の質問に。
一瞬不思議そうな、
驚いた顔をした潤くん。

でもすぐにふっと優しく
笑って答えてくれた。





「...また新しい夢を見るんだよ。」








思いもかけない言葉。


そう言い切って。
私に背を向けて、また杏桜子の方へと
歩き始めたあなた。




新しい....夢.....？






握り締めた携帯に
思わずギュッと力が入る。







....今ならわかる。

何も終わってはいなかったんだ。

ずっとずっと会いたいと
願っていたあなたに会えて。

夢が叶って。
今まで大事にしてきた、
小さな自分だけの世界が
消えてなくなってしまった
思いがしたけど。


違ったんだね。



あなたとの出会いは
”始まり”だったんだ。





これから始まる新しい世界の。

あなたと重ねる、短くも
忘れ得ない時間の。






杏桜子とブランコで遊ぶ
あなたの姿を見つめながら。


その時の私はそんなこと
ちっとも知らずに
ただただその場に
立ち尽くしていた。

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