<<読者様3000人記念>> Blue 【Jun Matsumoto】 第１章

23. 落し物 ページ23

そのままちょっぴり
空を見上げていた潤くん。

と思ったらハッと思い出したように
ポケットからハンカチを取り出した。


「ハイ。これ、
　冬桜子さんの落し物でしょ？」

「あ....はい。そうです。
　あ、ありがとう....ございます。
　あ、でもどうして私のだって...？」

「んー...あの日これと同じ、
　青いスカートはいてたでしょ？
　だから。」

「...だから？」

「うん。ハンカチも青かったし。」

「それだけ？」

「それだけ(^^)」




思わずプッとふきだしてしまった。

話してる相手が”松本潤くん”だなんて
すっかり忘れて。


どこまで本気で言ってるのか
わからなかったけど。

目のまで自信満々に、
いたずらっこみたいな瞳で得意げに
微笑むあなたを見ていたら。

なんだか笑いが
止まんなくなってしまって。



そんな私を見て彼の方も
少し雰囲気が変わったみたいで。

次の瞬間、まぶしいくらいの
笑顔を向けてくれた。




ドキンッと音を立てて
響く私の心臓。




わ....わわっ////




「あっ...あのっ...冬の桜って
...本当にあるんですよ。」

「え？」



不意に始まったドキドキを
ごまかすように口を開いた私。

でも興味深そうに
聞き入り始めた潤くん。

じっと私を見つめてくるから。
もう全然ごまかせなくて。

なんとかドキドキをおさえながら
話を続けた。


「冬桜ってね、別名コバザクラって言って。
　晩秋から初冬にかけて
本当に咲く桜なんです。
　群馬のほうとかで見られるみたいですよ。」

「ふうん...返り桜じゃないんだ...」



少しずつ私達の間に存在していた、
ピンと張り詰めていた空気が
やわらかくなっていくのが
手に取るようにわかる。

潤くんの口調もどんどん
フランクになってきているように
感じるのは気のせいかな？





「ママーーっ！」





その時、ジムで遊んでいた
杏桜子が向こうから呼ぶ声。



「あ。はーーいっ！待っててねー。」




軽く潤くんに礼をしてから
杏桜子へとあわてて駆け寄る私。




だからポケットに入れてた携帯を
落としてしまったこと、
全然気がついてなかった。

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