<<読者様3000人記念>> Blue 【Jun Matsumoto】 第１章

18. 発見 ＜J side＞ ページ18

よく見ると、あの時と
１８０度服装は違うけど。

目の前にいるのは確かに
あの公園の女性だった。

子供と一緒にいないから、
今日は全然母親っぽくは
見えないけど。

俺よりちょっとだけ
年上...かな？
真っ白な肌と、
大きな瞳が印象的だな...


すげぇ...ありえねぇ再会...

あ、俺。あのハンカチ、
自分の車に置きっぱなしだ。


「ハンカチ...」

「え？」



俺のつぶやいた声に反応して
体を起こした彼女。

不意に胸のネームプレートが
俺の目に飛び込んできた。





...え....？！





そこには「井田」という二文字。

も...もしかして...




「...あの、名前...？」

「え？あ、井田です。
『いだ とうこ』です。けど...？」



胸のプレートを指でつまんで
俺に見えるように向ける彼女。

突然の質問に明らかに
面食らってとまどっているよう。



「...冬の...桜の。子...？」

「え...どうして...？」



ますますとまどいの表情が
濃くなっていく彼女。




...見つけた。こんなところで。
手紙の彼女を。

...いや、あの日あの時、
もう出会っていたんだな。




驚く彼女を前に、俺は思わず
サングラスとキャップを外し、
手ぐしで軽く髪を整え直した。



俺を見つめる彼女の瞳が、
みるみるうちに、
夢でもみてるような色に
変わっていく。





お互い一言も発せず。
身動き一つせずに。

でも目と目は
しっかり合ったまま。




ただただ向かい合って、
しばらくその場に
立ち尽くしていた俺たちだった。

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