マイ・ガール 【Jun Matsumoto】 第3章

136. 変わらない笑顔 ページ44

それは所狭しと積み並べられていた、
嵐が表紙の雑誌達だった。






嵐全員の表紙のものや
潤だけが表紙のものもある。



その瞬間、キュッと
苦しく締め付けられた胸。


でも手は無意識に伸びて
その中の一冊を手に取っていた。




表紙の潤は。まぶしいほどの
アイドルスマイルで。

いつ撮った写真かな？

こないだ会った時と
少し髪型が違う。



中を開くとインタビュー記事も載っていた。



あ...今年はツアーファイナル、札幌なんだ。


そういえば秋に会いに来てくれた時、
そんなことを言ってた覚えがある。




ファイナルは...来週。

来週、潤、札幌にくるんだ...






思わず嬉しくなりかけるも。
あわてて打ち消す。




何考えて...私...


潤に会えるわけないのに。


自分の気持ちがわからなくて。
会わせる顔なんてないのに。



何よりも。




私から「終わりにしよう」って
潤に言ったんだよ...








雑誌の中の笑顔の潤は。
ちっとも変わりなくて。

その姿に少し安心したけど。
同時に寂しさもよぎる。



勝手だよね。

自分から連絡を絶ってるくせに。



でも私がいなくても潤には
変わらない時間が
ちゃんと流れてるんだって。

もう私のことなんて
忘れちゃったのかもしれない、
なんて思うと。

せつなくて。たまらなくなって。
思わず涙がじわっとにじみ出す。




...っ こんなところで...
泣くなんてダメ...っ









「...桜井？」

「っ！センパイっ」



その時。後ろからかけられた声。


振り返ったら。少し不思議そうな顔をして
私を見つめているセンパイだった。









ハッと我に返って。

あわててあふれかけてた涙を
グッと飲みこんで。
笑顔を作って答える。






「セ、センパイ、お疲れ様ですっ」

「？(苦笑)」




潤の本を見ていたって
気づかれたくない...っ




「い、行きましょう、早くっ
　私、お腹ぺこぺこでっ」

「あ、あぁ...？」






センパイの目に雑誌が入らないよう
センパイを押し出すようにして一緒に
そこから去り出す。


一瞬、ちらっとセンパイが
後ろを確認した気がしたけど。


私は振り返らずに
どんどん足を進め本屋を出た。

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