134. ゆっくりでいい ページ42
「....っ....センパ....っ」
「桜井っ?!」
慌てて私の肩を抱いて
センパイはフロアの隅の方へと
私を連れていく。
その腕がやっぱり優しくて。力強くて。
止めなくちゃ、って思うのに。
全然涙が止まらない。
頭の中ではあの夜の潤とユウコさんが。
潤との言い合った言葉が。
あの時の潤の顔がグルグルと周り続けている。
泣いているのを見られないように
センパイは周りに背を向け
私を自分の胸の中へと収めてくれる。
あたたかくて広い胸。
包まれていると。
冷え切っていた心と体に
少しずつ感覚が戻っていくよう。
私を抱きとめたまま。
センパイは何も聞いてこない。
ただただ私の背中を優しく
トントンし続けてくれる。
今はもう何も考えたくない。
ずるいけど。少しだけこうして
羽を休めていたい....
「....もう疲れた....」
気が付いたら。そうつぶやいていた。
それでも何も問わずにセンパイは。
涙が止まるまでずっと
私を抱きしめていてくれた。
ひとしきり泣いたら。
少しいつもの自分が戻ってきた気がした。
....あっ...!///
センパイの胸の中にいることに
はたと気づいて。慌てて体を離す。
「ごっ、ごめんなさいっ、私っ///」
さらに離れようとしたその時。
センパイにパッと手首をつかまれる。
「センパイっ...」
まっすぐに私を見つめながら
センパイは静かに、でもしっかりと告げる。
「急がなくていい。
ゆっくりでいいから。」
「...え....?」
「少しずつ俺を知って。
好きになってくれればいい。
彼のことも少しずつ忘れていけばいい。
だから。桜井の側にいていいか?」
「センパ...」
そうしてまたそっと私を自分の胸へと
抱き寄せたセンパイ。
その優しさと気持ちが胸にしみて
ありがたかった。
....ううん、嬉しかった。
でも。センパイの言葉に。
イエスともノーとも言えなかった。
言えないくせに。
この時の私は。センパイの手を
手放す事もできなかったんだ。
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かこ(プロフ) - satosatoさん» はじめまして。いつもありがとうございます♪いよいよ次章最終章になるかしら。どうぞ最後までお付き合いくださいね(^^) (2015年9月17日 19時) (レス) id: 1c4ce8f51d (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - モノクロさん» やっとヒロインちゃんは気づきだしました。でも素直になれる術が今は見つからない感じかな。2人が向かい合えばきっと事態は好転するはず。札幌ファイナル、いつか実現してほしいなという願いをこめて書き進めますー(^^) (2015年9月17日 19時) (レス) id: 1c4ce8f51d (このIDを非表示/違反報告)
satosato(プロフ) - 初めまして。いつも楽しみに読んでいます。これから潤君と主人公ちゃんがどうなっていくのか!続きが早く読みたいです。 (2015年9月17日 12時) (レス) id: 3561c422ab (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ - ぬあああああヽ(;▽;)ノヽ(;▽;)ノ ようやく素直になれましたねヽ(;▽;)ノでもこれはこれで少し悲しいけど…やっぱり隣は潤くん以外はダメですね(;_;) 札幌ファイナル…気になるところです(¯ω¯) 下書き頑張ってください! (2015年9月16日 21時) (レス) id: fe40c0e409 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - まゆみさん» お待たせいたしました!待っていてくださりありがとうございます(//∇//)この勢いで夕飯食べたら下書き書きますっ! (2015年9月16日 18時) (レス) id: ae2a9fb09b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かこ | 作成日時:2014年10月18日 8時