マイ・ガール 【Jun Matsumoto】 第3章

104. あせりと不安 ＜J side＞ ページ12

でもそれから早３日。


Aとは連絡が取れない。



年末の怒涛の仕事ラッシュに
突入してなかなかゆっくり
電話できる時間が
取れなくなったこともあり。


や、それはもちろんあるけど。


今なら絶対つかまるだろうという時間に
電話してもなしのつぶて。




Aもそんなに忙しいの？

いや、もうこんな状況が
３日も続いてる。

さすがにおかしいだろ。



まさか....
あの記事、誤解したまま...？




そうは思いたくねぇけど。
そう考えるとつじつまがあう。



そう、電話に「出れねぇ」んじゃなくて。
「出たくない」.....？





その瞬間。
急に押し寄せてくる不安。

一度考え出したら
もう止まらなくて。

仕事中も集中力を
欠かしちまう始末。



らしくねぇ。
でも。だめなんだ。


こんなの初めて。

それは。距離なんて
関係ねぇっていってたくせに。

その距離に倍不安をあおられてる
自分に気がついちまったから。



電話がダメなら。
今すぐ会って
ちゃんと誤解を解きたい。



いつもの俺なら
すぐにそう出来るのに。

この仕事詰めの毎日に
北海道まで飛んでいける
時間なんて少しもねぇ現実で。




募るイライラ。
加速していく不安。




何やってんだ、俺。



Aが困っていたら
すぐに飛んでいくんじゃねぇのかよ？


どんなに離れてたって
乗り越えていくんじゃ
なかったのかよ？




でも。今の自分には、
こうして楽屋で煙草片手に
地団太踏んでることしかできなくて。







....あー....っ
情けねぇ....っ









「松潤」

「.....え」




その時。いつのまに
か隣にやってきてた
翔くんに声をかけられ
ハッと我に返る。


他のメンバーはもう
スタジオに移動してしまってた。




「....あ、ごめん。
　ボーっとしてて....」

「突然なんだけど夜の取材、
　先方の都合で延期になったって
　今連絡あり。」

「まじ？あぁ...了解...」

「松潤さ、明日何時から仕事？」

「ん？あぁ、１０時から
　ＪＡＬのＣＭ取材。
　午後は雑誌のインタビュー。」



俺の答えに。
少し考えたこんだ風な翔くん。

次の瞬間、”決めた！”って顔で
口を開く。

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