7. 特等席 ページ7
あわてて弁解しようと
オレが口を開きかけるより先に、
ハッとして彼女のほうが
倍あわて始めた。
「あっ！！マズイッ★
エントランスの施錠忘れてた...
うわ....また怒られるよ...(＞＜)」
オレの存在になんてまるで
気がつかないみたいに
頭抱えて、一人どんどん
落ち込んでいく彼女。
「あ！オ、オレ、誰にも
言ったりしないから
大丈夫だよっ！！
ね。オレと君との
秘密ってことでっ(^^)」
これで不法侵入のこと
チャラにしようって思いも
半分あったけど。
何よりも目の前で困り始めた彼女が
どうにも気の毒に見えて。
なんだかフォローして
あげたくなっちゃって。
そう思ったら口にしてた
妙な契約ごっこ。
よく考えると変な話で。
笑い飛ばされても
仕方がないような話で。
でも彼女はジーッと
オレの顔見つめた後、
少し嬉しそうに
ポツリと言ったんだ。
「..ありがと...ございます。」
「い...え..」
しばし流れる沈黙。
どど、どーしよう。
出て行く...べきだよね...？
....でも.....
もう一度グルリと一周、
ドームを見上げてみる。
やっぱりすごい大きさ。
ここで見られる星、
きっとものすごい
迫力なんだろうなぁ....
そう思うとなかなか
離れがたくって。
一歩足を踏み出せなくて。
「あの...観ていかれますか...？」
「え？」
そうしたら突然彼女の口から
発せられた提案。
ちょっと恥ずかしそうな、
優しい笑顔とともに。
「黙っててくれるお礼に。
.....どうぞ。」
「は.....はい....」
その笑顔にひかれるように、
気がつくと返事して、
ど真ん中の特等席に
オレ腰掛けてた。
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作者名：かこ
| 作成日時：2014年1月18日 18時
