28. 告白 ＜H side＞ ページ28
どのくらいそうしていたんだろう。
意を決して
降りようとドアに手をかけた時、
相葉くんの手に偶然
かすかに触れた反対の手。
....え...？！
次の瞬間、パッとその手をつかまれ、
グイッと思い切り引き寄せられ、
抱きしめられた。
耳元で響く相葉くんの心臓の音。
私のと同じくらい速いリズムを
刻んでいるのがはっきりとわかる。
目を閉じてその音に聞き入る。
考えられないくらい
ドキドキしてるのに。
この音聞いていると妙に
安心も感じてしまうのは
どうしてだろう...
静かな車内。
いつのまにか私の鼓動も加わって。
まるでこの世に二人しか
いないみたいな音色を奏でている。
相葉くんが静かに口を開いた。
「...何もしないなんて
言ってゴメン...
約束守れなかった....」
言葉にならず、相葉くんの胸の中で
ただコクンとうなずくだけの私。
抱きしめてくれている腕に
またグッと力がこもった。
でもすぐにゆっくりと体を離して、
私の目をまっすぐ見つめたまま、
相葉くんはしっかりと、
はっきり言ってくれた。
「オレ、Aちゃんが好きだよ。」
夜空でまたたく一等星みたいな瞳で。
そらさずに真正面から
みつめてくれている。
私もそらさず、ううん、
もうそらせずに見つめ返す。
「...私も...好き....
相葉くんのこと...」
気がついたらやっぱり
自然に口にしていた。
そうなんだ。
私、相葉くんが好きなんだ...
私の答えが合図だったかのように
またさっきみたいにゆっくりと
近づいてくる相葉くんの唇。
相葉くんの上着をキュッとつかんだまま、
私もゆっくりと目を閉じる
...あっっ！！！！
唇が軽く触れたか触れないか
わかんないくらいの距離になって
思わず顔をそむけてしまった私。
突然の、予期しなかった私の行動に
相葉くんも豆鉄砲くらった
ハトみたいにびっくり唖然顔。
そうだよね。うん。
でも。だって...
「...あ...ゴ、ゴメン...」
我に返った相葉くんが、
困ったような、
心配そうな表情でつぶやく。
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作者名：かこ
| 作成日時：2014年1月18日 18時
