25. もう限界 ページ25
「初めてプラネタリウムで
相葉くんに会ったとき、
笑顔だけど本当には
笑ってないように見えた。
....私もそうだから。
悲しいことがあるときほど
頑張って笑ってしまうから。だから」
「....だから星、見せてくれたの？」
「うん。私ね、小さい頃から
つらいときやくじけそうなとき、
星を見上げると元気になれたから。
....あのね、私の育った街、
いつもすっごくきれいに
星が見えるの。」
それからAちゃんは
自分の故郷について
たくさん話をしてくれた。
夏はどこまでも見渡せる牧草地。
空気も澄み渡って、おいしくて。
冬はまつげまで凍ってしまう
厳しい寒さ。
でもその中で見る星空はもう、
ほかとは比べ物に
ならないくらい格別で。
思い出を手繰り寄せながら、
一生懸命オレに語るAちゃんは
キラキラしてて、まぶしくて。
目が離せなくて。
見つめていたらどんどん
オレの鼓動は速くなっていって。
ドキドキは止まらなくなっていって。
「あーー(＞＜)もうっ！
言葉じゃうまく伝えられないね。
相葉くんに見せてあげたいなぁ...」
そういうAちゃんに、
気がついたら自然と口にしていた。
....本当に、心からそう感じたから。
「...行ってみたいな...」
オレの言葉に嬉しそうに
驚いているAちゃん。
「ホント？！すごくオススメだよ♪
そうだな、季節は....」
「...いつか一緒に行こう？？
オレ、Aちゃんと二人で
その星空見たい。」
「...うん...」
その瞬間目と目が合う。
ヤバイよ....そりゃ、
”映りたい”って願ってたけど、
まさかこんなに早く
その瞬間がきちゃうなんてさ...
それが”今”なんてさ。
...もうオレ.....
手が動いて彼女の手に触れる。
一瞬ビクッとしたAちゃん。
でも逃げることなく、
目はまっすぐに
オレの瞳を見つめていて。
オレももう目が離せなくて。
Aちゃんの瞳に映る
自分の姿を見つめながら
少しずつ、少しずつ
その距離を縮めていく。
頭上に感じるプラネタリウムの
画像が変化するたびに
Aちゃんの瞳の色も変わっていく。
小さな、やわらかそうな唇。
少し赤く染められた頬。
オレを見つめている黒目がちな瞳。
....もう限界だよ....
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作者名：かこ
| 作成日時：2014年1月18日 18時
