16. 正体 ＜H side＞ ページ16
それから程なくして、
相葉さんの言っていた
言葉の意味が
わかってしまった。
「Aちゃん、お昼にしようか？」
「あ、ハイ♪」
涼子先輩に誘われ、休憩室へ。
お茶をいれ、テーブルに向かうと
テレビガイド誌広げている先輩。
お茶を置きながら
ふと目にしたその表紙。
「あっ！！」
思わず先輩の手から
バッと奪ってしまった本。
そこには、あのひまわりみたいに笑う
相葉さんがいた。
「びっくりした〜(驚)
Aちゃん、嵐のファンなの？」
「あ....らし...？」
右から左へと流れていく
涼子先輩の嵐の説明。
頭の中でどんどん
解けていく疑問。
不規則そうな仕事。
初めて名前名乗ったときの表情。
あの年にしては不釣合いな
駐車場の高級車。
あのルックス。
人懐っこいまぶしい笑顔。
職業・アイドルさん。
だったんだ....
そっか....
気持ちがなぜだか急下降。
相葉さんが急に
遠い存在に思えてきてしまった。
またここにくるなんて
ありえないや。
きっとあれは社交辞令。
私、からかわれたんだ、きっと。
何にも知らずに
何、舞い上がってたんだろ...
....そう思いつつも、ううん
自分にそう言い聞かせつつも、
彼の優しい笑顔や瞳を思い出すたび、
そうとは思い切れなかった。
あのときの彼の笑顔は、
この表紙の笑顔とは
どこか違ってて。
....”ホントウの彼の笑顔”
だった気がして。
そんな気がしてたまらなかった。
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作者名：かこ
| 作成日時：2014年1月18日 18時
