3. とばっちり ＜J side＞ ページ3
「今まで本当に感謝してるよ。
お前も早く新しい奴見つけて
幸せになれよ」
なおもほぼ一方的に
言い放ちながら
去ろうとする男。
その腕、反射的に
バッとつかむも。
振りはらわれて
少しよろける彼女。
あー...
ちょっとひでぇなこの男。
そんな乱暴にしなくてもさ...
思わずやきもきして。
立ち上がりたい衝動に
駆られちまったけど。
全くの第三者の俺が
出る幕じゃねぇな。
グッとおさえて
また座りなおす。
すると。
急に黙り込んでしまった彼女。
帽子とマフラーで。
あんま顔見えねぇけど。
泣いて...はいないか。
気になって見てたら。
彼女は静かに口を開いた。
「...冗談じゃないよ...」
決して大きな声じゃないけど。
しんとした冬の夜に
よく通る、響く声で。
歩きかけてたその男も
思わず歩みを止め振り返った。
その瞬間。
「ふざけんなっ
このバカ男ーーー！！！
そんな勝手な言葉だけで
終われるわけないでしょうっっ？！」
「うわっ★おいっ！
やめろって！！Aっ」
叫んだと同時に。
息つくヒマも与えずに。
側の雪壁から
雪の塊を握りつかみ。
男に向かって手当たり次第
投げつけ始めたその女。
目にも止まらぬ速さで。
雪玉、何発も反発も作っては投げ、
作ってはぶつけ続けてる。
(作って...じゃねぇな、もう。
それ、ぶっかけ状態だろ★)
す...げぇ...
いつのまにか。
自分の立場も状況も忘れて。
その光景に目を
奪われてしまっていた。
雪まみれのその男は。
しばらくは
”やめろ”と言いながら
抵抗してたけど。
そのうちぶつけられるまま。
真っ白になりながら。
彼女に背を向けて歩き去り始めた。
それでもなお雪玉をぶつける手を
少しもゆるめない女。
「....ぅわっ★」
痛ってぇ〜....
いきなり飛んできた流れ玉が
俺の肩に当たる。
本当にそろそろ俺も去んないと。
もっと災難に合いそうだな。
雪も本降りになってきた感じだし。
今度こそ。
本当にこの場を後にしようと。
そっとベンチを立ちあがった
俺の目に飛び込んできた
その風景。
それは。
男が去った後。
さっきまでの威勢は
どこに行ったって様子で。
その場にヘナヘナと座り込んで
声も出さずにハラハラと
涙を流し続ける女性の姿。
4. 出逢い ＜J side＞→←2. 修羅場 ＜J side＞
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 402人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かこ(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます♪北海道色満載な作品、私も大好きなストーリーです。どうぞよろしくです♪ (2014年8月1日 21時) (
レス) id: ae2a9fb09b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - かこさんの作品読みやすくて好きです！popcornに続き 私の大好きなお話です。こちらも続きがすっごく楽しみです♪ (2014年5月6日 6時) (レス) id: f7fb08dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - あ~ちゃんさん» ありがとうございます♪すでに完結作品なので毎日更新を目指していますが。待ちきれないときには他作品もよろしかったらぜひ♪ (2014年5月1日 12時) (レス) id: 1c4ce8f51d (このIDを非表示/違反報告)
あ~ちゃん - 今日 この作品に出逢いました。続きが楽しみです。読みやすくてテンポが良くて・・・読み返すのが好きなので待ってます。有難う。 (2014年5月1日 11時) (レス) id: b6f277a24a (このIDを非表示/違反報告)
あ~ちゃん - 今日 この作品を見つけました。更新が楽しみです。読みやすくてテンポがいいですね。 (2014年5月1日 11時) (レス) id: b6f277a24a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かこ
| 作成日時：2014年4月29日 9時
