箒星 【Sho Sakurai】 第１章

19. シャツ ＜S side＞ ページ19

「お疲れー」

「今日意外におしちゃったよね」

「翔ちゃん、これからまだ仕事？」

「ん、あぁ。羽田で取材」

「へぇー.....あれ？翔ちゃん、
　 そのシャツ、
ボタン取れてんじゃん」

「え？あ....」




いつものレギュラー仕事後の楽屋。
私服に着替えながらワイワイ
いつもの俺ら５人。


相葉ちゃんとそんな会話してたら。
ニノが不思議そうな顔で聞いてきた。



これ。こないだの
合コンの時着てたシャツ....


今朝起きたら遅刻寸前で。
あわててその辺に放ってあったやつ
着てきたんだっけ。


そう。あの夜帰宅した時には。
後でメンテしようと思ってたけど。

考えてみりゃ俺、
針と糸なんて持ってねぇーし(苦笑)。



思わずそっと指で触れたボタンの部分。

その瞬間。あの夜の
北田さんのことが思い出される。



あの状況で。俺にお願い、
なんてそぶり少しも見せねぇで。
いきなり自分の髪切り落とすなんて。

おしとやかそうで。控え目な笑顔で。
外見はもろ”女の人”って感じなのに。

いさぎ良い人。オトコマエな人で。
なんか粋だな、なんて感じてた。



結局連絡先は聞けずに別れて。
何も怒らないまま早２週間。

こっちも日々の忙しさにいつのまにか
頭の中から彼女のことは
薄れていってたけど。



またいつか会えたりするのかな？

....優太なら。
何か知ってたりする....？




そういや今日
これからの仕事は羽田。

もしかしたら。

北田さんと偶然ばったり、
なんてこともありえたりする？！




....なわけねぇか。


空港なんて広いし。
北田さんが勤務してる日かどうかも
わかんねぇのに。


つくづく俺もめでたい奴だわ(苦笑)

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