箒星 【Sho Sakurai】 第１章

6. 収穫ゼロ ページ6

笑った時の口元がイヤ。
いやらしそう。

まぶしく光る腕時計は
ロレックスなんだけどな。
お医者様なんだけどな。

４０点。





そのお隣は。真面目そうな人。
国家公務員。なるほど。うなづける。
安定はしてるけど高収入は望めない。

４５点。



反対隣は。

NY帰りの広告代理店勤務。
ルックスはピカイチなんだけど。
遊んでそう★３５点。


会のスタートから一生懸命
場をしきってくれている人は。
ほずみ銀行勤務。可も不可もなし。


５０点というところか... パス。





K大卒の男性陣との
合コンって聞いたから。
かなり気合い入れて臨んだ今夜。

靴も春物のワンピもおろしたて。
ウケのいい高さのヒールで。
露出しすぎず清楚な、
それでいて絶妙なラインの
新作ワンピ。

メイクも決して派手ではなく。
でもナチュラルに見えるよう
しっかりと作りこんで
きたんだけどな....



始まってまだ30分と
経っていないのに。
今夜の収穫はなしと悟ってしまう。

５対５の予定のはずが。
ドタキャンの男性
(弁護士(＞＜)おしい...)
が出てしまうし。

考えてみると
最初から期待薄の要素が
ありありだったなぁ。






次々に自己紹介をしていく男性陣に
営業スマイルを振り向きながら。

頭の中ではカタカタと採点してたら。
隣の亜衣にテーブルの下でこづかれる。

今日は収穫ゼロって思ったの、
顔に出てた？

そういうとこ、
亜衣は鋭いかならぁ....


「....気乗りしてない割には
愛想いいじゃん、A(苦笑)」

「お友達のお友達と縁があるかも
しれないでしょっ。
どんな出逢いもね、
無駄にはしないのっ」

「ったく★こんなこと言ってる女が
　 今夜も人気ナンバーワンなんだからっ。
　 ホント世の中間違ってるよ」

「なんとでも言ってっ。
亜衣達の次の出逢いも
　 ちゃんと確保してくるからっ」

「...ホントかわいい顔して
悪魔なんだから...」

「なんか言った？！(怒)」

「ううんっ、よろしくお願いしますっ」

「あっ。このワインなかなか
おいしいですよ？どうぞ(^^)」


亜衣との会話もそこそこに。
向かいの席の盛り上げくんの
空いたグラスに
すかさずワインを注ぐ。


少し照れくさそうに
お礼を言うその笑顔。




...なかなか良さげな人かも。

お友達のお友達の。
そのまたお友達に
いい人がいるかもしれないな。

今夜は。この人と縁を
深めておこうかな。

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