箒星 【Sho Sakurai】 第１章

2. 未練 ＜S side＞ ページ2

のぞみ。吉田のぞみ。
３か月前までは
”彼女”だった人。

「もう翔とはムリ」って。
突然そんな一言だけ残して
俺の前から去って行った人。

まさに＜青天の霹靂＞ってやつ。


愛情表現ベタな俺のことも。
ちゃんと理解してくれていて。

こういう仕事してるから。
なかなかおおっぴらには
外出できねぇことも
わかってくれていて。

我儘だって言われたことなかった。

考え方もすごく似てて。
世の中こんなに
ぴったり合う奴って
いんだって思ってたのに。



なんでこんなことに
なったんだろう。

俺のせい？
のぞみの変化に。
全然気がつかなかった。



それから早３か月。
その間メールも電話も
全く応答なし。

でも。今だって。
往生際悪りぃけど。
信じられねぇの。

”びっくりした？”って。
あの笑顔で
ひょっこり俺のところに
戻ってくんじゃねぇかって。
一人期待してる毎日。



なぁ、のぞみ。

いつから俺たち
すれ違い始めてたの？

一度かけ違えたボタンは。
もう修復不可能なのか....？







思わず考え込んでしまった
俺を見て。

半分あきれたようにニノが
ふーっと一つ息をつくのが
目の端に映る。



「...っ あっ、ごめん...」

「...翔ちゃんはさー。
”価値観同じ人”じゃなくて。
今の翔くんをぶち壊して
くれるくらいの人が
意外と合ってんじゃね？」

「...(苦笑)そっかぁ？」

「じゃねぇと。新しい季節なんて
いつまで待っても
来なさそうだから」

「★言うねぇっ(苦笑)」

「あっ。おいらもそう思うっ！」



その時。

それまで話の蚊帳の外にいた
智くんが。
大真面目な顔でそんなんに
会話に入ってきたもんだから。

ニノも俺も思わず
同時に笑みがこぼれる。



「智くんにまで
言われてんのかよっ(苦笑)
あーもう終わり、終わりっ！
この話はもうヤメッ★
んじゃ、お疲れー、お先っ」

「あっ 逃げんのかよっ(苦笑)」

「また明日ー」

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