1. SAKURA [JUN] ページ1
温暖化なんて言って。
3月に雪が降ってしまう
今日この頃。
咲きそうで咲かない。
なんとももどかしい日々を経て。
4月の今日、やっと
桜の満開宣言が出た。
マンションから見える、
川沿いの桜の木々も
満月に照らされてとても幻想的。
"桜の下には死体が埋まっている”
なんて言ったの誰だっけ？
坂口安吾だったかな？
でもそう思わされてしまうくらい
桜には魔力があると思う。
こんな夜に一人。
ベランダで桜鑑賞しながら。
缶ビールをあけてる寂しい私。
本当は一緒に見たかった。
潤と夜桜見たかったよ。
でも相変わらずの
ハードスケジュール。
桜どころかこの２週間
全然会えてない。
...仕方ないよね。
最初から一緒に見たいなんて
期待してないから。
期待しないようにしてたから...
せめて潤も。
どこかでこのきれいな桜を
見ることができてたら
いいなと願ってるよ。
その時、不意に鳴り響いた
携帯の着信音。
こんな時間に誰...？
あわててリビングに入り出ると。
潤からだった。
「も、もしもしっ？！」
「今晩は。今どこ？家？」
「う、うんっ、潤は？仕事中？
....後ろの方、なんか
にぎやかだけど...？(笑)」
外からかけてる？
かすかに潤の後ろの方で
人の騒ぐ声が聞こえる。
私の質問に得意げに答える潤。
「ふふーん♪目黒川で夜桜見物。
予定より早く仕事終わったから。
で。来て見た。
あちこちで宴会やってて
すげぇにぎやかなの♪」
「え？！バ、バレちゃうよっ？！」
「大丈夫、大丈夫。
皆、桜とお酒に夢中だから
全然気づかれねぇーの。
ね、今から出てこれる？
一緒に桜見ようぜ」
「え、あっ、私、もうお風呂入って。
化粧落としちゃったよ(＞＜)」
「そんなのかまわねぇって。」
「いや、私がかまうからっ」
「いーから来いって！
３０分後、あの赤い橋の近くで」
「あっ...」
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作者名：かこ
| 作成日時：2017年3月15日 15時
