魔法使い @ラ ページ7
センラ side
透明感のある白い肌
ぱっちり二重の大きな瞳
それを縁取る長い睫毛
程よく高い小さな鼻
控えめな笑窪
薄桃色の形のいい唇
痛み知らずで綺麗な黒髪
それらの完璧なパーツが詰め込まれた、小さな顔と、女の子らしさをより強調させる華奢な身体。
中世的、いやどちらかといえば女声なましゅうが、まさかこんなにも美人だなんて。
綺麗さの中の危うさが見え隠れしていたのはきっと、Aがまだ制服を着ていた高校生だったから。
高校生のくせして、ほんま…出来上がりすぎ。
「 懐かしいなぁ…」
貴方「 ん？なあに？」
キッチンではなく、最早カウンターと呼ぶことの方が相応しいそこから顔を覗かせる、愛しいA。
不意に笑みがこぼれて「なんでもないよ」と。
貴方「 ね、ほんとに自由に作っちゃっていいの？」
「 ふふ、ええよ。センラのこと想って作ってくれるんやったらなんでも嬉しいわ 」
貴方「 えへへ。じゃあ、ちょっと待っててね 」
あれから、早いもので六年が経とうとしてる。
長かったなあ。いや、早かった？
貴方「 せんくんのために美味しいの作るね 」
だけど、かけがえのない六年だった。
「 ほんま、敵わんわ…」
貴方「 へ？」
「 なんでもないよ〜 」
貴方「 もー、またそれぇ？」
この先もどうやったって勝てそうにない、ふにゃっとした笑顔を、頬杖をつきながら見つめる。
愛おしいだなんて、想いを知ることになるとは思わなかった。これ以上を求めるのは、きっと彼にとっては酷で、俺にとっては得策ではないんだろう。
無論、求めるつもりもないけれど。
ワガママも、理不尽も、君なら何だって許せてしまう。むしろ、それだけで君の隣にいられるなら笑って何でも引き受けようと思うくらいには、好き。
カクテル好きが生じて、資格を取り、作るための機材やらを買い込んですっかりバーカウンターになってしまったキッチン。
両極端なところは昔から治ってない。
なあ、覚えとる？
あの日さ、初めてあったとき。
Aは開いた口が塞がらなかった俺に向かって、花が綻ぶみたいにふにゃりと笑いかけて
『 センラ、さんですか？』
『 え、あ…はい…センラ、です 』
『 へへ、やっぱり 』
『 …やっぱり？』
『 いつも聴いてた優しい声に、ぴったりの優しい瞳をしてたから 』
俺の心に、魔法をかけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 459人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこまみれのましゅまろ - マシュマロと聞いて飛んできたら、まさかの神設定で思わず奇声をあげました←更新頑張ってください！ (2019年1月16日 17時) (
レス) id: 850345dca1 (このIDを非表示/違反報告)
花籠(プロフ) - あおりんごさん» ご指摘有難うございます。訂正させていただきました。 (2019年1月13日 2時) (レス) id: 43a6a59ad9 (このIDを非表示/違反報告)
あおりんご(プロフ) - 虫歯 @にゃる のところ、「煮詰まる」の使い方が違うと思います。 (2019年1月8日 11時) (レス) id: 74f86b76bc (このIDを非表示/違反報告)
サクラ@wrwrd！ syp.sha 推し【腐】 - ごめんなさい。ましゅまろが好きすぎて下の言葉が意味わかんなくなってます。（）の中だけが理性が生きてたんです。ましゅまろ美味しいですね(^q^) (2019年1月4日 22時) (レス) id: 089aae62ec (このIDを非表示/違反報告)
サクラ@wrwrd！ syp.sha 推し【腐】 - ましゅまろ……。ましゅまろか。ましゅまろ……。 （嫌いではない） (2019年1月4日 22時) (レス) id: 089aae62ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花籠 | 作成日時：2018年9月7日 22時
