きみに本当のこと教えてあげるよ (ページ8)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:6,337 hit

８「隠しておきたいこともあるだろう？」ページ8

昼休みも終わりかけ。そろそろ教室に戻ろうと思ってカフェテリアから教室のある本館をつなぐ廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。振り返るとそこにはジェノ。

「ジェノ。どうしたの？」

「さっきカフェテリアでヘチャンといるとこ見かけたよ。
　何話してたの？」

まずい、見つかってたか。
男子と２人で話してたりするとジェノは機嫌が悪くなる。むろん表面上は普段と何ら変わりはないのだが、柔らかい声が鋭くなり、いつにも増して瞳の奥の闇が濃くなる。取り調べのような詰問口調の質問に全てジェノが納得いくまで応えなければこれは終わらない。
さて、どうしたものか。

「ああ・・・、別に大したことじゃないよ。部活の話してたの」

「部活って？」

「バスケ部とテニス部って室内練習の場所半分こしてやったりするの。
　それでバスケのあの大きいボール飛んできて危ないから、間にネットはろうかとか、そんな話」

【何でジェノが私を選んだのか】なんて本当の事言ったらどうなるかわからない。怒りはしないだろうけど、なんとなく言いたくなかった。

「ふーん、そっか」

「たいしたことないでしょ？」

「うん」

笑ってジェノはそう言った。
そして私の髪を撫でながら問いかける。いや、もはや決まっているような口調で。

「今日帰り僕の家来ない？」

「うん、いいよ」

他の男子と違うところ。
ジェノは例え家に２人きりでも手は出してこない。他のカップルがしたとか、そんな話が耳に入っても「僕たちは僕たちなりでいいんだよ」と言ってくれた。
やさしい。そう、やさしいのだ。こんなにもやさしいのに、どうしたって私は彼に裏があるように感じてならないのだ。