泡沫の恋【Tadayoshi Ohkura】 (ページ33)

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【３３】ページ33

「初めまして。津田マコトです。
よろしくお願いします。」

笑う事もなく、単調な挨拶。

第一印象は…ぶっちゃけ良くない。

隣に立つ院長はずーっとニコニコしてるのに、
愛想笑いのひとつもない。

この人が後に院長になると思うと、
気が重くなる。

そんな私とは真逆のテンションで

「カッコイイ人ですね！」

ボソッと耳打ちする美菜ちゃん。
…カッコイイ、のかな？

カッコイイかは置いといて…
無愛想な人、苦手なんだよね…。

「じゃあ、Aちゃん。」

「え、あ、はい。」

急に院長名前を呼ばれてビクゥッとする。

「しばらくの間、マコトに付いてくれるかな？」

え…なんで私…？
って言いそうになるのをグッと抑えて

「わ、かりました。」

と、返事をする。

その瞬間パチっと先生と目があう。
気のせいか分からないけど…
気のせいだと思いたいけど、
ギロッと睨まれた気がした。

.

.

院長に頼まれて、津田先生に施設の説明をするけど、空気が重すぎる。

ズーンっとしてて、息がしにくい。

「コチラが治療室です。
除菌した器具は全てココにおいてあります」

「…あぁ。」

ニコッと笑って言ったのに、
ほぼ反応なし。

私はただコミュニケーションをとりたいだけなのに…
どうしてこんなに愛想がないの？

これからこの先生とやっていく自信がもう既にないんですけど…。

それでも、気まずい雰囲気に耐えられくて、とりあえずで話しかけてみる

「津田先生はどうして他の医院に居たんですか？」

何気ない。私にとっては何気ない話だと思ってしただけなのに…

「アンタには関係ない。」

チッと舌打ちをして、私を置いて
カツカツと靴を鳴らして治療室から出て行く。

その背中を私は茫然と眺めることしかできない。

本当になんなの……。