クリスマスの約束【完】 (ページ3)

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「お化粧が、念入りですね。」

「…ふ、つうだよ。」

ハンドルを握りながら横目で冷やかしてくる。
前を見ろ前を。
事故ったらどーすんのよ。

「それは、アイツが来んのを期待してるからなん？」

「…え？」

「大学時代のトモダチ、ゼーイン呼んだって言ってたで？」

「……。」

「ちょっとは期待してるやろ？」

さっき、揶揄った仕返しと言わんばかりに
触れられたくないところを突いてくる。

口の端を上げてニヤついてるのが
ムカついてしょーがない。

でも、図星すぎて、なんにも言い返せない。

．

もしかしたら、来てるかもしれない。
もしかしたら、一瞬でも会えるかもしれない。
もしかしたら…話せるかもしれない。

昨日からそんなことばっかり考えて、
考えすぎて、寝れなくなって…

お酒に頼ってなんとか寝れたと思ったら
あの夢を見るわ、寝坊するわ…。

．

「俺は、来ると思うで。」

「……。」

「意外と亮って義理堅いやん？
義理と人情で生きてるような奴やん。

大学時代の仲間の結婚式は必ず出席する、
思うで？」

「…ん。」

私も、そう思う。
どんだけ忙しくても、
リョウなら来そう。

トモダチを大事にする人。だから。

付き合ってた時も私よりもトモダチを優先することが多かった。

それをイヤだと言う女の子も多いかもしれないけど…私はリョウのそういうところも好きだった。

流れていく景色を見つめて、
シアワセだったあの頃をなんとなく思い出す。

もう、一生戻れないあの日々を。