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「中目のいつもの店で、待ってるから。」
弱々しく発せられたヨコの言葉が
頭の中をグルグルと回り続ける
さっきまで優しい温もりに包まれていたからか、寒くて仕方がないはずの外に出ても体が火照ったまんま。
いくら腕をさすっても、さっきの感触が抜けなくて、無駄にドキドキしたままの状態がしばらく続く
.
亮のことだけでも頭がいっぱいだったのに、
どうしてこんなにヨコのことを考えなきゃいけないわけ…?
もう…キャパオーバー…なんですけど。
ガクッと力なく膝を折って、人通りの少ない路地にヘナヘナと座り込む
.
もう、疲れた…よ。
約束なんて、しないで欲しかった。
フるならただただフッて欲しかった。
期待させるだけさせといて、ヒドイよ…
あんな約束さえなければ、
前に進めたかもしれないのに…
ヨコの好意も有り難く受け取れてたかも知れないのに…
涙の滲む瞳をグッと腕に押し付けて、
背中を丸めて小さくなる
このまま過去に戻れたらいいのに。
こんなに辛いなら…
「亮のことなんて好きにならなければ良かった…」
.
「過去の自分を責めても、なんも生まれへんで?」
上の方から降ってきた 聞き慣れた優しい声。
いつもこの声に助けられて、
ばっかりな、気がする…
「、、、、章ちゃん、なんで、、、?」
太陽みたいに温かく笑う章ちゃんが、
私の前にしゃがみ込んでる。
タイミングが良すぎて、
一瞬、幻覚かと思った…、、
テレパシーでも使えるんじゃないの…?
なんて疑ってしまうくらい、
会いたかった。
章ちゃんに、会いたかった。
.
「なんでって、Aの家向かってたら、
見たことある感じのダンゴムシがおったから。」
「…ダンゴムシって…。」
「ダンゴムシさんは冬眠でもするん?」
「、、、ダンゴムシって冬眠するの?」
「ん?するで?ちょうどこの時期になあ。」
ふふんっと笑いながら巻きが取れてグチャグチャな私の髪を人差し指で弄ぶ。
「冬眠せんなら、家帰ろーや。寒いて。」
「、、、、。」
「Aも寒いやろ?化粧も落としてないし、風呂も入ってへんやん。」
よし!早よ帰ろな?って、
冷たい大きい手で私の手を握る。
冷たいはずなのに、温かく感じるのは、
ココロの温かさが伝わってくるからなのかな。
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作者名:Ma | 作成日時:2017年12月12日 19時