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イラついてるのか、
なかなかライターを点けれない亮のタバコに
ジュッと火を点けてやる。
「ありがと…」
小さくそう言って、
壁に寄っかかった。
「なあ、章ちゃん。」
「ん？」
「俺、間違ってたんかな。」
はあ…と深いため息を吐いて
天を仰ぐその横顔は、
男の俺からみても、カッコいい。
ほんま、ズルイわ。
「なにが？」
「…Aを置いてったん。」
ぼーっと遠くを見て、
力ない声でそう言った。
そんなことないよ。
って、言う言葉を待ってるんかも知れんけど…
「間違いか間違いやないかは、分からんし、
亮なりにAのことを思ってそうしたんやろ…」
「章ちゃん…」
「でもな。」
現実はそう甘ないねん。
「あんな曖昧な約束をして、Aを縛り付けてる亮を、俺は許さんよ。」
肺いっぱいにタバコを吸い込んで、
冷たい空気に吐き出す。
口角を上げる気にもなれなくて、
そのまま亮を横目で見ると
悲しそうな顔を一瞬だけみせて
俺から顔を逸らした。
．
「俺はな、亮のこと、大事な友達やと思ってるよ？
でもな…Aのことは、この世でいっちゃん大切に思ってんねん。」
せやから、俺は、亮を許せない。
何年もほったらかしにして、
あんな顔をさせて、泣かせて、
苦しめて…
挙句の果てに、他の女と街を歩いてたって…
ありえへんやろ。
「…章ちゃん…いつから？」
「んー。いつからやろーな。
…いつの間にか。かな？」
ふふっと笑うと、
「そおか…」って、バツが悪そうにした。
Aが苦しんだ分、
亮も苦しんだらええのに…
って思ってまう俺は、
性格が悪いんやろうか。
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作者名：Ma
| 作成日時：2017年12月12日 19時
