サディスト的恋愛方程式〔黄〕 (ページ49)

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ep.49 ページ49

「…ほんま、アホやろ、お前」

「もう、まだ言ってるんですか？
こんな広いんだからいいじゃないですか！」

ホラっと言って
手を伸ばしてクルクル回る

「…足痛めてるんやから
あんまはしゃぐなや」

グイッと腕を引っ張られて
ベッドに座らされた

「大人しくしとけ。
今、フロントに消毒液頼んどくから。」

ホテルの電話の受話器を
耳に当てて、フロントに電話をする先輩

…先輩と同じ部屋で過ごす、のかぁ…

今更ちょこっと緊張、し始めた

「なあ、佐藤は、
錦戸さんに、俺と出張って言ってる？」

受話器を置いた先輩が、
私の隣にぽすんと腰を下ろした

「…言って、ませんけど？」

「…そおか。」

「…先輩、は？」

「…俺も、言ってへんよ。」

言えるわけ、ないわ…。
と、小さな声でそう呟く。

「…え？」

ははっと笑って、
顔をグッと私に近づける

「…先輩、ちかい、です」

綺麗で端正な顔が
正しく目と鼻の先にあって、

緊張して、俯いて目を伏せる

「近づいてるんやから、
当たり前やろ。やっぱアホや」

「アホアホ煩いです…
じゃあ、離れてください」

「…離れたく、ないなぁ」

「…先輩、頭でも打ちました、か？」

なんか、今日の先輩、おかしいって…

「打ってないわ。」

私の髪を耳にかけて、
手で髪をとかすようにする

ピンポーン

と、ベルが鳴る

「先輩、鳴ってる…

出てきます、から。」

グッと胸板を押して、
先輩からスルッと抜け出す