サディスト的恋愛方程式〔黄〕 (ページ1)

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ep.１ページ1

幸せそうに笑う、
同僚のカナちゃん。

その隣にいるのは、
紛れもなく
私が長年片思いをしていた相手。

大好きな笑顔で、
大好きな声で、

愛しそうにカナちゃんの
名前を呼んでる。

『婚約しました。』

そう幸せそうに
他の社員に報告する姿をみると

胸がはりさけそう。

入社して、
イチから仕事を教えてくれたのが
その当時、教育係を任されていた
大倉先輩だった。

一目見た時、
カッコイイ人だなとは思ったけど、
一目ぼれをするタイプじゃないから、

そういう好意は持たなかったけど、

大倉先輩の
仕事への真摯な向き合い方だとか、
新人の私への気遣いだったりとか、
近くで感じていたら、

自然と徐々に好意が芽生えた。

自惚れてただけかもしれないけど、
大倉先輩も、
私に少しは好意持っててくれているのかな…？

と、思ってた矢先、

「大倉先輩と、付き合ってるの」

そう、カナちゃんに告白された。

もう、頭が真っ白。
ただ、少しだけ、
大倉先輩の趣味を疑ったことは
一生誰にも言わず、心の中にしまっておこう。

ボーっと幸せそうな
2人をみてるけど、

どうも現実味がなく感じるのは、
多分、まだどこかで

諦めきれてないのかもしれない。

でも、私に人の男を奪い取れるほどの
勇気と、魅力があるとは

到底思えないから、
こうして、
ただ突っ立って、

ボーっとするしかできないんだ。