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熱 ー 高橋優斗 ページ13

朝起きると喉に違和感。


「うそだ...」



泣きそうになるぐらい喉が痛い。
声も、いつもの声と違う。
そして、いつもより体がだるく感じる。



はあ、今日部活なのになあ。


一応、バスケ部に所属している。
どうしても部活に行きたくて、
痛さとだるさを我慢して部活に行った。




体育館に着くと、もう既に一人来ている人がいた。


確か、2年生の高橋優斗先輩。


綺麗なフォームでシュートを決める先輩。


「おはようございます」


やっぱり今朝と変わらないガラガラな声。



優「声どうしたの?」



「大丈夫です、大したことじゃないです」




私より背が高い優斗先輩は、
屈んで私の顔を覗く。



優「顔赤いけど大丈夫?」



優斗先輩の冷たい手が私の頬に触れる。
思わずピクッとしちゃって。



優「熱、あるんじゃない?」


「いえ、本当に大丈夫ですから...!」


優「測ってみないとわかんないよ、ね?」



救急箱にあった体温計を取り出してきて
私に渡す。



ピピピピッ

うそ...7度6分。




優「見せて?」



ゆっくりと体温計を差し出す。


体温計を見た優斗先輩の目が丸くなる。




優「やっぱり熱あるじゃん」


優斗先輩は、持っていたバスケットボールをカゴに片付けて自分の荷物を背負って私のところに戻ってきた。




優「帰ろ。荷物、貸して」


「え、いいですよそんな!荷物ぐらい持てます」



でも優斗先輩は、私の手さげ荷物をひったくって私から奪い取る。



優「よし、帰ろ。家まで送るよ」



「あ、あの優斗先輩...」


優「ん?」


「私...家の鍵忘れちゃって。」



だから親が帰ってくるまでどこかで暇潰すので
先輩は部活戻ってください。



と、付け足すAちゃん。
そんなのほっとけないっての。


優「俺んち、誰もいない。」


「え、いや!そんな!申し訳ないですから!」



優「いいの。外で待ってて何かあったらどうすんの」




優斗先輩は、私の腕を強引に掴んで歩いていく。



優「てか、ほんとAちゃん俺のこと頼らなすぎ。」


「すいません。なんか申し訳なくて」



俯く私を見て、へへっと、笑う先輩。


「なんですか...?」



優「いやあ、なんか弱ってるところ初めて見たからさ、レアだなーって。Aちゃん、もっと甘えていいんだよ?」




さっきよりも熱が上がった気がしたのは
きっと優斗先輩のせい。

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作者名: | 作成日時:2017年5月21日 19時

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