ずっと君の隣にいれるなら (ページ21)

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『お疲れ様でした』

あの後、紫耀くんは友達と合流した。

帰るときも私に手をぶんぶん降るから
お店の人に彼氏？って聞かれた。

……別に彼氏でもなんでもありません。

あ、忘れてたけどあの人(紫耀くん)と会ったの
昨日ぶりじゃん。

紫耀くんの家に行って、そんで……

「 A 」

『 …っ、優太？』

「うん、おつかれ」

家に帰る途中の道で優太に会った。

偶然、あの公園の前で。

『懐かしいね、この公園』

…あ、優太は覚えてないか。

だって九九も覚えるのに苦労してた優太だよ？
歴史23点だった優太だよ？

「懐かしい、な」

『 …覚えてる？』

「白雪姫忘れるわけないじゃん」

ははって乾いた優太の笑い声が
とてもとても懐かしかった。

『優太は王子様だもんね、私の』

「あー、あったな、そのセリフ」

『うん、ほんと懐かしい』

「 Aは俺のお姫様だもんなー」

2人とも前を向いたまま歩き続けてる。

優太がどんな顔してるのか分からないけど
恥ずかしい。顔が熱くなっていく。

『戻りたい』

あの頃に。
優太が私の王子様だったあの頃に。

「なんて？」

『ううん』

今は、何でかな。

優太が遠いよ。

『あ！髪切ったよね？言うの忘れてた～』

「んー、似合ってる？」

似合ってる、超可愛い。

『 …似合って、ない』

「うわまじか、伸ばすわ。頑張って」

前髪を引っ張ってる仕草でさえ愛おしい私は末期だな。完全に。

『やっぱり似合ってる。カッコイイよ優太』

「 …お世辞はいいっすよ、うん」

『とか言って照れてるでしょ』

バレた？なんて顔を大きな手で覆ってる優太は
可愛いとかそんな言葉では
どうしょうもないくらい愛おしくて。

口からだいすきがいっぱい溢れそう。

「なんかA、変わった？」

『え？』

変わった？変わったのかな、私。

『可愛くなったってこと？』

冗談のつもり。
うん、嘘でも頷いてくれたら嬉しいけど。

いつもの「んなわけねえだろ」って言葉を待ってた。

「うん、可愛い」

真っ直ぐな優太の瞳に私が映って
もう何もかも忘れてしまいそうになる。

『優太も、変わったよ』

ばいばい、と言って家に帰った。

もう、ただの幼馴染みなんて嫌だった。

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