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廿玖 爆弾飯 ページ29

杏寿郎と炭治郎ら4人は、無限汽車の中で雑談を繰り広げていた。

「む、そういえば」
「どうしたんですか?煉獄さん」

何かを思い出したような懐に手を突っ込んだ杏寿郎に、炭治郎は不思議そうに尋ねる。杏寿郎が懐から出したのは、綺麗な形をしたおにぎりだった。

「煉獄さんが作ったんですか?」
「いや、Aが俺にと作ってくれたものだ!すまんがこれはあげられない!」
「Aさん……煉獄さんの許嫁の人ですよね」

横の席から、許嫁かぁ……と明後日の方向を向いて呟く善逸の隣では、窓から景色を眺めながら、すげぇすげえ!と子供のようにはしゃぐ伊之助。大人の腕など容易く折れるほどの力を持つ彼らだが、側から見ればまだまだ子供だった。微笑ましい。

「どんな方なんですか?」
「美人だ!そして俺の許嫁だ!手は出すなよ!」
「大切な人なんですねぇ」

目を細めて微笑む炭治郎と、美人の許嫁か……と涙交じりに拳を握りしめる善逸。伊之助は変わらず汽車の時間を楽しんでいる。マイペース過ぎはしないだろうか。
このとき、下弦の壱である魘夢の予定が狂う。本来ならば眠るはずだった柱の杏寿郎が、眠らなかったのだ。そのせいで、汽車と同化をするよりも先に、頸を斬られるという異常事態が起きた。
なぜそんなことが起こったのか。それは、Aの作った胡椒おにぎりが原因だ。残してしまっては申し訳ないと、涙ぐみながら完食したせいで、眠気など吹っ飛び、魘夢の血気術が効かなくなってしまっていたのだ。
Aの不器用さと、杏寿郎の尋常ではない愛が、下弦の壱、魘夢の血気術を破ったのだった。
全てが終わったと、杏寿郎が刀を鞘に収めた瞬間、汽車を衝撃が襲う。汽車は線路を外れ、横向いに倒れる。

「上弦の鬼か」

型で汽車への衝撃を緩和するのに成功した杏寿郎だが、目の前の強敵に、再び刀を構える。
汽車からなんとか出てこれた炭治郎たちも、その鬼の存在を認識した。
上弦の参の鬼は、風にも等しい速度で間合いを詰めると、杏寿郎の隣にいた炭治郎に襲いかかる。

【炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天】

炭治郎へ伸びるその腕を切り裂く炎刀に、鬼は即座に距離を取る。先ほど斬られた腕は、既に再生していた。

「凄まじい力だ」

鬼、猗窩座は好戦的に笑った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

*補足

結核の少年たちは(煉獄さんを除く)夢に侵入しているため、少年は炭治郎の優しい心を取り込んでいます。

卅 声→←廿捌 いつものように



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squid(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月2日 6時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます!続編楽しみにしてます。 (2019年5月2日 5時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 時飴さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読み返してくださるほど楽しんでいただけて何よりです!この小説を書けて良かった……! (2019年5月1日 20時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
時飴 - あぁ、完結か でもとても楽しい2、3日でした。外伝もこの先楽しみです!何度も読み返したくなる夢小説は久々です!ありがとうございました! (2019年5月1日 19時) (レス) id: 2a7a7ec279 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 雪菜さん» コメントありがとうございます!読み返していただけるなんて光栄です!ご期待に添えられるよう頑張ります! (2019年5月1日 14時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:squid | 作成日時:2019年3月31日 19時

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