廿漆 料理 ページ27
目を覚ませば、隣に愛しい人の寝顔がある。認めようにも認められなくて、照れ臭くて言えない言葉は多いけど、幸せだなって思う。
私は寝相が悪く、枕が布団から離れたところにあったが、代わりに杏寿郎に腕枕をされていた。意外と寝心地は良かった。
「おはよう！A」
「……おはよう」
耳に来た。起きてるなら起きてると言ってほしい。
昨晩も良かった！などと恥じらいもなく言うのだが、なんとかならないだろうか。こっちまで恥ずかしくなる。
私たちは、任務の話はしない。互いにそういう話をしたくはない、というのもあるが、せめてこの憩いの場では、幸せな世界にいたいのだ。
「ああ、そうだ！今回の任務は竈門少年も同行するんだが、任務が終わったら家に誘おうと思う！Aも会いたがっていただろう！」
しかし今日に限って、杏寿郎は任務の話をした。竈門少年とは、鬼といるという鬼殺隊の子供か。たしかに会ってみたいとは言ったが、かなり根に持っているらしい。顔は変わらないが、声が不機嫌だ。
「なら、今日も早く任務を終わらせないとね。……今度こそ、アンタにおかえりって言いたいし」
一瞬室内の温度が急激に上昇した気がしたが、最後に一言付け加えると、元の温度にまで下がった。
朝食は千寿郎くんの手作りで、しかもかなり美味。私も女性として見習わなければならないが、この間火事を起こしかけ、お義父様からは台所の出入りを禁止された。
『Aは料理が下手なのか！』
あのとき、隣で杏寿郎が作っていたおかずが、どれも美味しかった。千寿郎の方が美味しいが、私よりは全然マシだった。
忘れない、あのときの杏寿郎の勝ち誇った顔を。
「どうよ、千寿郎！」
「Aさん……それ胡椒です」
形はだいぶ綺麗に出来たが、どうやら塩と胡椒を間違えてしまったらしい。おかげで、眠気も向き飛ぶ爆弾飯が出来上がった。
「う〜ん……なかなか上手く出来ないなぁ」
杏寿郎に弁当を作れるようになりたいのに、なかなか上手くできない。理由を説明した千寿郎は、喜んで私に料理の指導をしてくれているが、私の不器用さは想定外だったのだろう、顔が引きつっている。
「どうした２人共！」
「げっ……」
背後からの声に、私は慌てて後ろにおにぎりを隠すが、すぐに取り上げられてしまった。
まじまじとおにぎりを見つめた杏寿郎は、私とおにぎりを見比べている。
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squid(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年5月2日 6時) (
レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます！続編楽しみにしてます。 (2019年5月2日 5時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 時飴さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、読み返してくださるほど楽しんでいただけて何よりです！この小説を書けて良かった……！ (2019年5月1日 20時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
時飴 - あぁ、完結か でもとても楽しい2、3日でした。外伝もこの先楽しみです！何度も読み返したくなる夢小説は久々です！ありがとうございました！ (2019年5月1日 19時) (レス) id: 2a7a7ec279 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 雪菜さん» コメントありがとうございます！読み返していただけるなんて光栄です！ご期待に添えられるよう頑張ります！ (2019年5月1日 14時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：squid | 作成日時：2019年3月31日 19時
