廿肆 謎の伝言 ページ24
空は雲1つない蒼天。鳥のさえずりの代わりに、烏のさえずりが耳に響く。
「A、南南東に向カエェ!稲ヲ忘レルナ!」
私の頭の上を飛んでいるのは、鎹鴉。稲が好物らしく、よく稲を求めてくる。あげると喜んでくれるのでついつい餌付けしてしまう。
「こっちね」
「其方ハ北西ダァ!」
あまり自覚はなかったが、私はどうやら方向音痴らしい。お義父様と千寿郎は今更知ったの?という驚愕の表情を浮かべていた。
杏寿郎?アイツにこれ以上醜態は晒さない。
それはそうと、鬼殺隊の制服が随分とサマになってきてはいないだろうか。日輪刀、色変わりの刀が、杏寿郎とは違う薄紅色だったのは残念だが、これはこれはカッコいい。
「カァ!」
1羽の鎹鴉が、私の肩に降り立った。私の鎹鴉ではない。杏寿郎の鎹鴉だ。
脚に紙が結び付けられており、丁寧に外すと、鳴き声を上げて元来た方角へ飛び立ってしまう。
紙を開くと、そこには白紙の部分を埋めつくさんばかりの文字の羅列。正直に言って目が痛い。
内容は、怪我はないかとか、道を間違えてないかとか、布団を蹴って寝ていないか、といったくらい。アンタは私の母親か。
手紙を貰ったからには送り返さなければならない。1度だけ任務に忙しく返す暇がなかったのだが、帰って早々、身体的にも肉体的にも手紙を返す重要性を教え込まれるという地獄を見た。あの時の杏寿郎の顔はトラウマものだ。今思い出しても恐怖で体が震える。
「お願いね」
「任セロ!」
手紙を託し、鎹鴉の背中(?)が見えなくなるまで手を振った。道は分かるのか、という話になるが、ちょうど1本道に出たので流石に迷わない。
目的の町につくも、特に変わった様子はない。まだ昼間なのだから、当然と言えば当然だろう。
私は宿を取り、日が沈むのを待った。その間も、修行は忘れない。【全集中・常中】は、必ず習得してみせる。
しばらくすると、鎹鴉が戻ってきた。
杏寿郎から伝言を言付かったらしいが、全く意味が分からなかった。
薄暗くなってきた頃、私は日輪刀を手に町に出る。
昼間にはなかった、狂気と殺意の入り混じった視線が突き刺さる。
「ケケケ、稀血だ。稀血の人間だ!」
犬のようなシルエットは犬のように見えなくもないが、手足は人間のもので、目は4つ。可愛いから斬れない、なんてことはない。
【全集中 炎の呼吸】
鬼の背後に回り込み、刀を抜く。
流れるように、素早く的確に。
【弐ノ型・改 横昇り炎天】
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squid(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月2日 6時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます!続編楽しみにしてます。 (2019年5月2日 5時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 時飴さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読み返してくださるほど楽しんでいただけて何よりです!この小説を書けて良かった……! (2019年5月1日 20時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
時飴 - あぁ、完結か でもとても楽しい2、3日でした。外伝もこの先楽しみです!何度も読み返したくなる夢小説は久々です!ありがとうございました! (2019年5月1日 19時) (レス) id: 2a7a7ec279 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 雪菜さん» コメントありがとうございます!読み返していただけるなんて光栄です!ご期待に添えられるよう頑張ります! (2019年5月1日 14時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:squid | 作成日時:2019年3月31日 19時