拾肆 最終選別 ページ14
鬼の亡骸に向かい、手を合わせる。鬼は元々、人間であった。家族が鬼になり、庇った後に喰われた者もいるのだそう。
私は鬼を斬った。私が殺されるから。
刀を鞘に収め、日が最も早く昇る東へ向かう。日が出れば、鬼は活動できない。最終選別前、お義父様からよく聞かされた。
「キエェェ!」
けたたましい雄叫びの後、上空から何かが降ってきた。鬼だ。しかも1体じゃない。前方には3体、後方には2体、右と左に1体ずつ。四面楚歌だ。
「稀血……稀血だ……」
「稀血の匂いだ」
鬼が何かを言っているが、何のことだかさっぱり分からない。だが、数え切れないほどの鬼が私に寄ってきているのは嫌でも分かる。
私を弱いと踏んでのことか。だとしたら激しい怒りを覚える。
私を女だからと甘く見たこと、後悔させてやる。
【全集中 炎の呼吸】
心臓の脈打つ音が速まる。体温が、勢いよく高まるのを感じる。
四方から鬼が迫る。それでも、待つ。鬼の頚が晒され、リズムができた瞬間を狙う。
_______そこ!
【肆ノ型 盛炎のうねり】
波を描くように、刀を振るう。先ずは前方の3体の鬼の頚を取る。まだ終わってない。
姿勢を低くし、私の頚に伸びる鬼の手を切り落としながら息を吸う。
【全集中 炎の呼吸】
後ろの鬼の懐に入り、刀を上へと振る。
狂気に満ちた鬼の目に、炎の宿った刀を振るう私の姿が映す。
【弐ノ型 昇り炎天】
鬼を一刀両断した後に、体を捻らせ、左右の鬼の頚を斬る。仲間が6体もやられたからか、鬼は攻めて来ず、こちらを様子見している。
先の戦闘の間に、鬼の数はさらに増えていた。さすがにこれでは分が悪い。退散したいのは山々だが、それを許すほど鬼も甘くない。
【全集中 炎の呼吸】
腹を決めろ。
私1人でこれだけの数の鬼が集まってくるということは、森の奥へ行った杏寿郎は大丈夫だろうか?
アイツにとってあり得ない話だが、怪我をしてはいないだろうか。
他人のことよりも自分の心配をすべきなのに、1度不安になると、やめられなかった。
構えた途端に、鬼が一斉に襲いかかってきた。
1体ずつ倒す暇などない。少しでも傷を負った瞬間に、私の敗北は確定する。
【肆ノ型 盛炎のうねり】
肩を変え、鬼を蹴散らす。大丈夫、まだ戦える。
生きたいのなら、型を繰り出せ!
【壱ノ型 不知火】
腕が痛い。
肺が押し潰されそうに苦しい。
【肆ノ型 盛炎のうねり】
私の体力が尽きるのが先か、鬼が朽ちるのが先か。
さぁ、体力勝負といこうか。
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squid(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月2日 6時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます!続編楽しみにしてます。 (2019年5月2日 5時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 時飴さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読み返してくださるほど楽しんでいただけて何よりです!この小説を書けて良かった……! (2019年5月1日 20時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
時飴 - あぁ、完結か でもとても楽しい2、3日でした。外伝もこの先楽しみです!何度も読み返したくなる夢小説は久々です!ありがとうございました! (2019年5月1日 19時) (レス) id: 2a7a7ec279 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 雪菜さん» コメントありがとうございます!読み返していただけるなんて光栄です!ご期待に添えられるよう頑張ります! (2019年5月1日 14時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:squid | 作成日時:2019年3月31日 19時