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拾弐 真意 ページ12

「俺の言いたいことは、分かるな?」
「分かりません!」

最終選別の日、杏寿郎が父に呼び出され、沈黙が続いていた。強いて言うなら、襖越しからAと弟の賑やかな声が聞こえる程度。

「……Aに手は出すなよ?」
「俺が斬るのは鬼だけです!」
「そっちじゃない」

遠回しに話そうとする槇寿郎だが、全く違う方向に解釈する息子に折れた。いや、元からこうなることは予想はしていたのかもしれない。

「お前たちは許嫁……だが、まだ式を挙げたわけじゃない。そういう意味で手を出すなと言っている」
「……ワハハ!」

槇寿郎の言うことを理解したのだろう。杏寿郎は大きく頷きはしたが、決して槇寿郎の言いつけを守るとは言ってない。
思い返されるのは半年ほど前、少しは学ぶことがあるだろうと向かわせた道場で、Aが他の男と稽古をしていたのを目撃したときだ。
杏寿郎は笑っていなかった。
殺気を隠そうともせず、Aと親しげに稽古していた男を完膚なきまでに叩きのめした杏寿郎を、槇寿郎は今も忘れていない。

『彼女は俺の許嫁だ』

Aが見ていないのをいい事に、杏寿郎は男の首元に木刀を突きつけ、周りにも脅すように睨みつけていた。
本人は全く自覚していないようだが、こういうことは自覚してからが問題だ。距離を置くか詰めるか。どちらにしろ、先に釘を刺しておく方が良い。
しかし、当の本人は分かっているのかいないのか、間違いなく分かっていて分からないフリをしているのだろうが、これ以上は無駄だと判断して、槇寿郎は席を立った。

拾参 炎の刀→←拾壱 藤のカーテン



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squid(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月2日 6時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます!続編楽しみにしてます。 (2019年5月2日 5時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 時飴さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読み返してくださるほど楽しんでいただけて何よりです!この小説を書けて良かった……! (2019年5月1日 20時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
時飴 - あぁ、完結か でもとても楽しい2、3日でした。外伝もこの先楽しみです!何度も読み返したくなる夢小説は久々です!ありがとうございました! (2019年5月1日 19時) (レス) id: 2a7a7ec279 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 雪菜さん» コメントありがとうございます!読み返していただけるなんて光栄です!ご期待に添えられるよう頑張ります! (2019年5月1日 14時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:squid | 作成日時:2019年3月31日 19時

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