弐ノ肆 狂戦士と剣士 ページ20
「錆兎!やはりお前は鬼になれ!」
「断る」
最初は攻防の応酬から、時間が経つに連れ防御に偏り始めた。
煉獄は片目を、錆兎は右膝を負傷し、最も軽傷であるAも、体力は既に限界を超えていた。
一方で、猗窩座は煉獄たちに付けられた傷などほんの数秒で癒え、体力も有り余っている様子で、どちらが優勢かは言うまでもない。
【雪の呼吸 捌ノ型
【水の呼吸 参ノ型 流流舞い】
錆兎とAが猗窩座の動きを止め、その隙に煉獄が猗窩座の頸を狙うのを繰り返す。だが、猗窩座とて狂戦士ではあれど馬鹿ではない。彼らの流れを読み、先の動きの予想すらし始めている。
だが、それでいい。彼らの目的は、あくまで"守る"ことであって、上弦の鬼の"討伐"ではない。
全力を尽くす。例えそれが時間稼ぎであろうとも、無駄になることは決してない。
だから彼らは、迷わずに刀を振れる。
後ろにいる、いつか彼らの意思を継ぐ3人の若き剣士たちがいるから、彼らは命を賭けられる。
【炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄】
砂埃が舞い、剣士たちの視界を覆う。
その砂埃の中から、煉獄の胸元に向かって伸びる拳をいち早く察した錆兎だが、既に呼吸を出せるような状態ではない。
それでも、彼の心は決して折れない。助けると決めたから、彼は最後まで守り助ける。
【水の呼吸】
"全集中の呼吸"とは、人によって型が異なる。
鬼にすら慈悲を向ける、優しき剣士には苦痛すら与えない型を。鬼に憎悪を向ける剣士には、鬼を切り刻むためだけの型を。
時代が進むに連れて、"呼吸"が枝分かれしていくのはこれが原因だ。剣士の数だけ呼吸の数がある、と言っても過言ではない。
【
これは、錆兎が己の無力さに嘆き、自分を叩き直した末に生み出した、彼だけの型。身体に負担がかかればかかるほど威力を増す、大切な人を守りたい一心で習得した技。
【
その技は、普段ならば決して使わない。リーチが短い上に、急に型を変えることはできないため、使い勝手が悪いのだ。
その型が使えるのは、彼女を信頼しているから。彼女になら、この背中を任せられると。
【雪の呼吸】
それは、誰に気付かれることもなく、煉獄に伸びた猗窩座の腕を斬った。
まるで人知れず地に落ちる、小さな粉雪のように。
【拾ノ型 不香の花】
それとほぼ同時に、煉獄と錆兎の刃が、ようやっと猗窩座に届いた。
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squid(プロフ) - シンアさん» コメントありがとうございます!こちらこそ、面白いストーリーを提供していただきありがとうございます。頑張ります! (2019年8月3日 17時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
シンア - 続編頑張ってください!!お花見のストーリありがとうございます (2019年8月3日 17時) (レス) id: 35c1a3a4d0 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月2日 22時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
りんご - foooooo!!!))ついに来ましたね、続編!!更新頑張ってください (2019年8月2日 21時) (レス) id: 65b8d779c9 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - シンアさん» コメントありがとうございます!夏に合わせて海に行ったりとかを考えていたのですが、お花見も良いですね。参考にします、ありがとうございます! (2019年8月1日 20時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:squid | 作成日時:2019年6月1日 20時