親子はじめました【番外編2】

＿ ページ28

お母さんの言う通りだった。
テヒョンはちっとも変わってない

いつの間にか私よりも背が高くなって
転んでも泣かなくなって
鼻水垂らしながら私を探す事はなくなったけど
テヒョンはテヒョンのままだった。
あの頃からずっと。

記憶の中に、小さな私とテヒョンが蘇る



『テヒョン』


扉を開けると部屋の隅に転がっていた姿が
くるりと壁のほうを向いて私に背を向ける


『なんでお外こないの？一緒にあそぼうよ』

「…あそばない」

『ジミンまってるよ』


近づいてその背中をつついても転がったまま動かない


「…じみんにおうちかえってっていって」

『どうして？』

「いっしょにあそびたくない」

『なんでそんなこというの。ジミンはしんゆうでしょ？』

「……」

『テヒョン』


無理矢理顔を覗き込んで
膨れているほっぺたをむにっと潰す


『そんなかお、すきじゃないな。
お口いーってして笑ってるかおがおねえちゃんだいすきなのに』


壁を見つめていた瞳が必死に瞬きしてぎゅっと唇を噛んだ


「、っだってねぇちゃんが、じみんとばっかりあそぶからいやだ」


私を見たテヒョンの目が潤む


「ねぇちゃんは、おれのねぇちゃんだよ、」

『うん、テヒョンのおねえちゃんだよ』

「っおれがいちばんじゃないといやだあぁ」


その目から大粒の涙がこぼれて
口を開けてわんわん泣きだす


『なかないで、テヒョンがいちばんだよ？』


小さな手でその頭を撫でると
涙でぐちゃぐちゃの顔が私を見上げる


「っちきゅうで、いちばん、？」

『うん。地球でいちばん』

「っうちゅうでも、いちばん？」

『うん。宇宙でいちばんだいすき』

「お゛れ゛も゛た゛い゛す゛き゛」

『はなみず。ジミンわらわれちゃうよ』

「ふ゛い゛て゛ぇ」

『あまえんぼだなぁ』


鼻水を拭いてあげると溢れていた涙が止まる
わがままを聞いてあげると、怒ってたことも泣いてたことも
全部忘れちゃう単純なテヒョン


「じみんふよふよボールもってた、？」

『うん。テヒョンと一緒にあそぶっていってたよ』

「おそといってあそぶ！」


すんなり機嫌を取り戻すと私の手を握ってひひっと笑う


『テヒョン、』

「なに？」

『だいすきだよ』


小さな私がその手をぎゅっと握りしめた


「へへっ、おれもねぇちゃんだいすき！」


おねえちゃんはずっと
テヒョンが宇宙でいちばんすきだよ
だからテヒョンもずっとすきでいてね

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