親子はじめました【番外編2】

＿ ページ13

「アメリカぁ？何しに行ったの」

『さぁ。よくわかんない』

「ふうん」


何しに行ったのかはわからない
全然荷物持ってなかったけど大丈夫かなあの子


「おまえ大人しいな」


誰かに似て人懐っこいらしい。
ユンギの膝の上でふりふり短いしっぽを揺らす


『犬のことはユンギに任せる。私苦手なんだよね』

「なんで。可愛いのに」

『うーん、』


猫は好きだけど、犬はあんまり。

そう思いながらヨンタンを見ると
まんまるのビー玉みたいなおめめと目が合う

…いや、なんか…あれ、


『……可愛いな』

「だろ」

『ねぇでもグクがさ、』


そこまで言いかけて、ガチャりと寝室の扉が開く


「おはよお」

「ワンっ」

「…わん？」

「ワンワンっ」


目を擦っていた姿が吠えた声にビクッと跳ねて
出てきたばかりの扉に慌てて隠れる


「っ、わんちゃん！？なんでっ」


嬉しそうに飛び付くヨンタンから
全速力でこっちに逃げてくるグク


「きゃあああっ」

「ワンっ！」

「いやぁっ！ぱぱぁっ！」


やっぱり。
ジョングク、ねこは大好きだけど
わんちゃんは少し苦手だ。吠えるから。

しっぽを振ってまわりを跳ねるヨンタンにビビりまくって
ユンギの足にしがみつく


『グク、タナだよ。遊んだことあるでしょ？』

「…たな？」

『テテくんとこのヨンタン』

「……」


たしか一緒に散歩行った事があったはず。
思い出したのかユンギの後ろから半分だけ顔を出して
ジッとわんこを見つめる


「…ててくんは？かいしゃでおしごと？」


うん。なんかごめんね。
テテくんニートだから会社行かないよ


『テテくんちょっと遠くにお出かけだって。
だからヨンタンうちにお泊りするよ』

「…おとまり？」

「仲良くしてやれよ」

「……」


全力でしっぽを振る小さな姿に恐る恐る近づくグク


「…ぐくのおうちにおとまりするの」

「ワン！」

「おうちではおおきいこえだしたらだめだよ、
ぐくびっくりしちゃうから」

「ワンっ！」

「しぃーっ！おおきい！ちいさいこえにして！」


必死に話しかけはじめた姿に
ユンギとふたりぶっと吹き出す


『説得してる』

「あいつなんでちょっと偉そうなの」

『お兄ちゃん口調可愛い』


小さなヨンタンの、小さなお兄ちゃん

微笑ましい、なんて笑ってたけど
現実はそんな呑気ににこにこしてられなかった

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