＿ ページ18
「だけどある日違和感に気づいた。
学校なんて行ってなかったし
一日中家に居たから気がつかなかったけど
記憶が曖昧なことがあったんだ」
『それって、』
「そう。他の人格が出てたんだろうな。
気が付かないうちに記憶が曖昧な出来事が増えてきて
ある日血相変えた母親が俺に怒鳴った。
何年も話しなんかしてなかったのに
俺に言ったんだ。気持ち悪いから出て行けって」
握っていた手にぎゅっと力が入る
「身一つで外に放り出された。
まともに育ててもらえなかった俺が
どうしたらいいのか分かるはずもなくて。
ずっと座ってた。家の前に」
どこか遠くを見つめたその顔が悲しそうに歪んだ
「何日も、ただ座り込んでた。
あの女をそうやって待つしか知らなかったから」
思い出す。
お母さんが出て行ってから
家の前に座り込んでいた、わたしの姿を。
「近所の人に保護されてそっからは施設で育った。
メンタルケアやらなんやら色々やったおかげで
自分が多重人格だってことも知った。
治るどころか酷くなる多重人格の所為で
施設でも馴染めなかったけど」
ー なにかに必死に耐えようとした結果が多重人格なんだ
そう言っていたナム君の言葉が蘇る
「お前が、はじめて。
自分のこと話すのも、話したいと思ったのも」
『ユンギ、』
繋いだ手を引き寄せて、その体を抱きしめた
『話してくれてありがとう。
ひとりで、よく頑張ったね』
ずっとひとりで、そんな辛いこと。
屋上に立つあの姿が脳裏に浮かんで、
なぜだかわたしが泣きたくなった
『寂しかったし、辛かったよね』
「、うん」
『もう大丈夫だよ。私がいるから』
ぎゅっと抱きしめて目を閉じる
『一緒にいるからね』
だから。
心の奥の扉の鍵は、もう外してもいいんだよ
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homi_dayo_0218(プロフ) - おはなしを定期的に読ませてもらってます！本当に本当に素敵なおはなしだなあと読むたびに思います。切ない気持ちであふれて涙が出てきてしまいます。更新楽しみにしています！じあさんのペースで頑張ってください！応援しています！ (2019年6月30日 21時) (
レス) id: 8df0e511ee (このIDを非表示/違反報告)
きぬ(プロフ) - 続き待ってます（ ; ; ） (2019年6月27日 4時) (レス) id: c8d934a26a (このIDを非表示/違反報告)
じあ(プロフ) - ちむちむさん» こちらにもコメントありがとうございます！ストップしたままですが、必ず完結させますのでゆっくーり待っていただければ喜びます。本当にありがとうございます！ (2019年4月30日 13時) (レス) id: 5b76b5a436 (このIDを非表示/違反報告)
じあ(プロフ) - リセさん» ありがとうございます（；＿；）この作品は繊細な心の動きを大切に書いたので、そう言っていただけて嬉しいです。他にも色々書いておりますので是非(^ ^) (2019年4月30日 13時) (レス) id: 5b76b5a436 (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ(プロフ) - 大好きな作品です！更新楽しみに待っています！ (2019年2月5日 7時) (レス) id: 44d6afde63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じあ
| 作成日時：2017年12月13日 0時
