エキセントリック 2

＿ ページ11

『ただいま』

「おかえ、り」


帰ってきた私の顔をみてユンギが目を見開く


「お前、泣いたの」

『うん、ちょっとだけ』

「どうした」


泣き腫らした顔が数時間で元に戻るわけもなく
また腫れている目を寄ってきたユンギが指で撫でた


『ナム君と喧嘩した』

「…なんで」

『ユンギと住んでること、バレちゃった』


なんでもないって言ったって
きっとユンギには分かってしまう


「あの人、なんて？」

『出て行かせろって』


でもね、と話しを続けようとして顔を上げる


「出てくよ」

『え、』


今、なんて？


「出て行くから、そんな顔するな」


そう言った顔が、
悲しそうに見えて慌ててユンギの腕を掴む


『ちがうの。
話したらちゃんとわかってくれるから！』

「…うん」

『今日は、ちょっと上手く話せなくて
ケンカになっちゃっただけなの』


ナム君は絶対に、分かってくれる。


『ちゃんと話すから、出て行かなくていい』

「ごめん」

『…ごめんって、何？』


なんで、そんな顔するの

眉をひそめると引き寄せられて
その腕に抱きしめられる


『…ユンギ？』

「ごめんA」


ねえそれは、なんのごめんなの？


『ユンギ』

「なに」


顔を上げないユンギにぎゅっと抱きつく。


『約束、忘れないでね』


一緒にいるって、約束したでしょ


『忘れないで』


静かな空間に私の声だけが響いて
ユンギはなにも答えなかった。

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