＿ ページ23
「おい、ホソク」
聞こえていた声が遠くなって
あっという間に静かな空間になる
「A、帰ったぞ。
盗み聞きなんて悪趣味なことやめろ」
聞こえた声に扉を開けてリビングへ出た
『盗み聞くつもりはなかったけど
兄妹の会話に割り入るのも悪いと思って』
「よく言うよ。Aが知ったら怒るぞ」
『玄関に俺の靴あるのに
なんで気付かないかなあのおバカちゃんは』
おかげで出るタイミングを失って
真っ暗な部屋でコソコソ息を潜める羽目になった。
ふぅ、と小さく息を吐いて
小難しい本と向き合っているナムジュンを見る
『お前、あれでよかったの』
「何が？」
『最後ぐらい言えば良かったのに。
Aのこと、好きだって』
言ったら、楽になれたのに。
ー ありがとう、お兄ちゃん
言っても、言わなくても。
優しくて、残酷なあの言葉を
お前が受け入れなくちゃいけないことは変わらない
「言っても、あいつの邪魔するだけだよ」
『Aみたら分かるでしょ。
もうあの子は揺れたりしない』
もう俺たちが知ってる弱虫なAじゃない
「分かってるよ」
『Aの気持ちに気付いてないフリし続けて
自分の気持ちにも気付かないフリかよ』
「そう。それは俺がずっと決めてたことだから。
今更考えを変えるつもりはない」
『それじゃお前も今までのAも報われないだろ』
「いいんだよ」
本から顔を上げたナムジュンが切なそうに笑う
「これで、いいんだ」
どこかを見つめたその顔に、柔らかい声に
何か言おうと思って開いた口を閉じた
「これがあいつを1番幸せにしてやれる方法なんだ」
心の奥にある扉に、いくつもかけられた鍵。
それがまたひとつ増えるのを
俺は黙って見続けることしか出来ない。
『…ほんと、お前達馬鹿な兄妹』
馬鹿だけど、大丈夫だよ
お前とAなら。
鍵をかけるのは、きっと今日が最後だ。
Aが強くなったように、
お前はその鍵をひとつずつ外す日が来る
「ところでお前はいつまでいる気だ？」
『なんだよ、別に居てもいいじゃん』
「そう言いながらここに居座って2日経ったぞ」
『賑やかなほうがいいだろ。
今から失恋パーティする？』
「帰れ」
大丈夫だよ。
出会った頃みたいにお前達が笑いあえる日は、
そう遠くない。
終わり
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homi_dayo_0218(プロフ) - おはなしを定期的に読ませてもらってます！本当に本当に素敵なおはなしだなあと読むたびに思います。切ない気持ちであふれて涙が出てきてしまいます。更新楽しみにしています！じあさんのペースで頑張ってください！応援しています！ (2019年6月30日 21時) (
レス) id: 8df0e511ee (このIDを非表示/違反報告)
きぬ(プロフ) - 続き待ってます（ ; ; ） (2019年6月27日 4時) (レス) id: c8d934a26a (このIDを非表示/違反報告)
じあ(プロフ) - ちむちむさん» こちらにもコメントありがとうございます！ストップしたままですが、必ず完結させますのでゆっくーり待っていただければ喜びます。本当にありがとうございます！ (2019年4月30日 13時) (レス) id: 5b76b5a436 (このIDを非表示/違反報告)
じあ(プロフ) - リセさん» ありがとうございます（；＿；）この作品は繊細な心の動きを大切に書いたので、そう言っていただけて嬉しいです。他にも色々書いておりますので是非(^ ^) (2019年4月30日 13時) (レス) id: 5b76b5a436 (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ(プロフ) - 大好きな作品です！更新楽しみに待っています！ (2019年2月5日 7時) (レス) id: 44d6afde63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じあ
| 作成日時：2017年12月13日 0時
