それでも好き (ページ37)

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ジミンさんが帰ってからの記憶はほとんどなくて

多分ずっとジミンさんは会ってくれないのか考えてたからだと思う

気づけばもうイベントが始まってて、

私はいろんな人の席を回ってた

みんなお疲れ様、頑張ってねって言ってくれるけど

素直に喜べない自分もいる

今日来れなかったお客様からシャンパンが入ってます、

って言われて見てみればお店で1番高い物

名前は？とボーイに聞くと

“ジミンさんから”って小声で教えてもらった

昨日はなにも言ってなかったのに

ちゃんとそういうことするんじゃん。

そうこうしてるうちに閉店の時間が近くなって

ジョングク来るって言ってたのに来ないなぁって裏の方を見てたら

明らかに怪しい全身黒で統一されたコーデの男の人が入ってきた

私はそれが誰かも聞かずにわかる時点で

結構通ってくれたことを実感する

「毎回遅れてごめん、」

そういうと後ろに隠してた手を私の目の前に出す

『…私に？』

「うん、」

すごく綺麗な花束を渡されて思わず顔が綻ぶ

ジョングク、こんな素敵なことできるなんて

本当にいい子すぎる、

『ありがとう、帰ったら家に飾るね』

「お礼はジミニヒョンに言って、

俺は言われて届けただけだから」

『…ジミンさん、』

名前を聞いただけでもどきっとする

『でもね、私どこで働くとか聞かれなかったの』

「はは、ヌナ泣きそうな顔しないでよ、笑

そんなに気になるなら明日にでも行動に移るから」

花束を持ってる私の両手に

自分の両手を重ねて“大丈夫”と言ってくれる

その大丈夫にはいろんな意味がある気がしてすごく安心した