それでも好き (ページ1)

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「ねえ聞いた？今日来るらしいよ」

「えっ、私会ったことないから会いたい〜！」

まだオープン前なのにいつもより騒がしい店内に

ちらほら聞こえてくる話題は年に2回ほどしか来ない人の話

ここの店に勤めてまだ数ヶ月の私には

初めて聞く話で正直よく分からない。

「Aも可能性はゼロじゃないんだから

期待してもいいんじゃない？」

『私は別に…』

「なんで〜！会いたくないの？

トップアイドルなんて滅多に会えないんだから！」

まあそうだけど…。

そもそも誰がくるとまで聞いてないのに

よくそこまで盛り上がれるのか謎だし。

年に2回くらいしか来ないその人は

席に着く女の子をすごく慎重に選ぶみたいで

いつもオーナーと話をしてから2人くらいしか

VIPルームに入れないようになってる。

部屋に入れば外には他言無用と言われてるみたいで

誰が来たかなんて外に漏れたことは一回もない。

だから毎回お店に来てもトップアイドルとしか分からないんだ。

「今日は誰が指名されるんだろ〜」

「一回でいいから入ってみたいなぁ」

きっと呼ばれるのはこの店の1番と2番くらいでしょ。

私は微妙な4番人気だからきっと呼ばれることはないし、

でもみんながめちゃくちゃ盛り上がるから

少し気になったりしてるのも事実。