揺れる ページ8
「ばぁか。」
そう言って。
伸ばした腕の重みが
体の上を覆う。
めくれた布団を掴んで
足元を隠す。
「そうやって、、、無防備だから。
つけ込まれるんだよ、、、」
はぁ？
意味わかんない。
私のせい？
怒りが。
体を巡る。
何言ってんの。
騙したのは、そっちじゃん。
怒りが。
指の先に、到達して。
思考が停止した。
次の瞬間。
強い力が、肩を押し倒して。
体が翻る。
力づくのその手は。
私の両肩を、おさえつけていて。
体がベッドへと沈んでいく。
驚いて。
目を開けた、すぐそこに。
風磨の瞳があって。
私を見下ろしていた。
覆われた身体は
身動きできるほどの余裕もなくて。
ただ。
その瞳をみつめる。
息が。
唇にふわふわとかかる。
くすぐったくて。
あたたかくて。
恥ずかしくて。
身体がぞわぞわして。
呼吸をしようとするから。
息を吸い込んでしまう。
「、、、おこしちゃった？」
言葉の波動が。
唇に伝わる距離。
「う、、、、ん。」
つい。
風磨のぽてっとした唇を
みてしまう。
もう一度、みつめる先を戻せば。
また絡む視線と。
何かを求める瞳に。
ゾクッとして。
動けない。
瞬きをしても。
まだ。
風磨は。
視線を外そうとはしてくれない。
じわり。
じわり。
と。
唇に感じる
息が、熱くなる。
それは、距離が近づいてる証拠。
眼差しが。
揺れている。
「、、、俺の言葉なんて。
もう、意味ないかもしんないけど。」
低く囁く声が
唇に響いている。
「、、、ごめん。
A。」
なにを。
ごめん、って。
言ってるのか。
わかんない。
強烈な不安が、怒りを呼び起こす。
「はなして。」
ダメだ。
もう。
しんどい。
風磨は。
唇を噛み締めた。
「さわらないで。」
言葉が。
切り刻む。
私の目は。
風磨を蔑んでいるだろう。
グッと睨みつける。
そう、してしまう。
「俺さ、、、。」
「聞きたくない。
なにも。
もう、知りたくない。」
視線を逸らす。
「Aを。。。」
「だまって！
、、、。
や、なの。
何も知りたくない。
傷つきたくないの。
風磨の声なんて、もう聞きたくない。」
次の瞬間。
私の背中は、すくいあげられて。
ふわっと。
胸に、抱き寄せられる。
起こされた瞳から
堪えてた雫が頬を流れ落ちる。
もう。。。
風磨の体温は。
効かなかった。
風磨の肩を、強く跳ね退ける。
「最低。
もう。
騙されない。
」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 687人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あひる(プロフ) - さやぽんさん» 読んでいただいてありがとうございます！心が震える、、、なんて嬉しすぎるコメントありがとうございます。がんばります！ (2018年4月8日 17時) (
レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
さやぽん(プロフ) - 久しぶりにこちらに来ました。やっぱりあひるさんのお話大好きです！読む度心が震えます。次回作も楽しみにしています！ (2018年4月6日 3時) (レス) id: 561c5b3bd1 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - クンミンさん» 映画って、すごく嬉しいです♪その言葉を胸にがんばります！ (2018年3月8日 23時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - イチさん» いつもコメントありがとうございます！これからも読んでいただけると幸せです。よろしくお願いします♪ (2018年3月8日 23時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
クンミン(プロフ) - 長編お疲れ様ありがとう。毎回映画を観てるようで泣いたり辛くなったりほっこりしたり。素敵な作品でしたありがとうございます(^^) (2018年3月5日 7時) (レス) id: 1f2e7aa42e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ahiru3hapinkdesu | 作成日時：2017年6月18日 21時
