Secret Chests 2 [f.k][k.n]

朝日がのぼる場所 ページ7

久しぶりの実家は
落ち着かなくて。

見上げた懐かしい天井も
どこかよそよそしくて。


全然寝付けなかった。



カーテンから覗く空が
だんだんと明るくなって。



気づくと。



スマホが揺れていた。



その着信は、風磨で。

"そろそろ向かう。"

"家出た。"

"もうすぐ駅に着く。"

少しずつ近づく距離が。
怖くて。

ベッドの中で。
見ないフリをしたけど。

"家の前。"


そう、届いた数秒後に。
チャイムが鳴った。


私は、まだ寝たままの
Tシャツに短パンで。
髪もぐちゃぐちゃで。



もう。
それでイイと。。。
思った。

綺麗に着飾って
待っていました、なんて。
見せたくなくて。
くだらない、小さな意地が
体を動かさなかったんだ。


玄関で、おはようございます、なんて
礼儀正しく挨拶する声がして。
イラっとした。
「Aー。風磨くん、来たわよ。」
階段下から、呼ぶお母さんの声に。
ハッとする。



階段を登る音。



風磨の足音は。
わかる。



近づく音に。
胸が痛くて。
苦しくて。



後ずさりしながら。
思わず布団に隠れて。
寝たフリをした。



コンコン。
扉を叩く音。
「A？、、、、」
コンコン。
もう一度、叩く音。
「、、、A。はいるよ？」


鍵のかからない部屋の
ドアノブを回す音がして。
私は、目を瞑った。


部屋に入る風磨の気配を
感じながら。
張り裂けそうな鼓動を
抑えるに必死で、呼吸を合わせるのに
必死だった。


「、、、寝てんのか。」
小さく呟く声。


ベッドの下。
寝てるフリをしてる私の傍らに。
風磨が背中を向けて。
ゆっくり座った。



風磨の息遣いだけが。
部屋に聞こえてた。



薄目をあけて、覗く風磨の背中が
大きくて。
キュンとしてしまいそうな自分を
戒める。



沈黙。


あまりにも。
静かで。


時間を持て余す。



壁をみつめる風磨の眼差しを
バレないように、のぞいてしまう。



深呼吸して。
目を閉じて。
振り返る。


慌てて、目を閉じて。
寝てるフリ。


目を閉じていても感じる。
優しい視線。



寝顔みてる？



ヤバイ。
胸のバクバクがひどすぎて。
少しずつ、震えて、、、。

そうだ。


寝返りをしたフリをして。
反対をむこう。




「ん、、、。ふぁー。」
よし。
うまく、、、
いった？


あぁー、、、
布団が
足が、、、
ふとももまで。
めくれてる、、、けど。

修復不可能、、、。





「ふっ。」
鼻で笑われた？



「あぁー？もう、なんっだよ。
ったく。はぁ。」
怒ってる。

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