Secret Chests 2 [f.k][k.n]

リセットボタン ページ6

この紙に名前を書けば。
すべてが終わる。





苦しかったことも。
悔しかったことも。
さみしかったことも。




忘れて。




リセットできる。







思い出すべて。
消しゴムで消してしまいたい。






風磨のこと。
すべて忘れたい。







嘘だらけの記憶なんて、いらない。

ひとかけらも残さずに。
消えてなくなればイイ。





感触も。
匂いも。
温度も。






リセットボタンで。






神様。
どうか。
すべて
消してください。









震える手は。
まだおぼえてる。


力を込めるたびに。
浮かぶ。
いたずらな笑顔も。
カッコイイ眼差しも。
強い手の温もりも。









全部。
嘘だった。









嘘だったの？









ねぇ、風磨。




ほんの少しだけ。
ちょっとだけでも。




私のこと、好きだって。
感じたことはないの？




あんなに優しく微笑んで。
あんなに強く抱きしめておいて。
あんなに私を心配そうに眺めたくせに。





全部、嘘なんて。







でも。








嘘なんだよね。









あなたは。
私を愛したから、結婚したんじゃない。
菊地家を継ぐために。
私と結婚する必要があって。
だから。




私を騙した。



私は、たやすく騙せそうだったのかな？
あなたに近づくたくさんの女の子の中で
私が一番簡単に騙せそうだったんだね。




だって。
私は。




風磨が大好きだったから。
完全に恋していたから。




騙しやすかった？






ねぇ。
風磨。





答えて。





風磨、、、、。









.









.









.









.









「、、、別れてください。」
そう言って。
名前を書いた紙を。
渡した。








その紙を。
破り捨ててくれることを期待した。







「ごめん。」
そう言って。
風磨は。
紙を受け取ったんだ。

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