Secret Chests 2 [f.k][k.n]

ぎゅっ、と。 ページ50

「小さい頃は。
養護施設にいて。

菊池のじいちゃんに、拾われた。

風磨、っていう。
孫にそっくりだったから。



そいつは。
俺の。
嫁さんの、初恋の相手。
」



「うん。」



「産まれた場所は。
東京。



両親は。


俺が、赤ん坊の時に。
交通事故で亡くなって。


祖父母に引き取られたらしいだけど。
けっこう歳だったらしくて。
2人とも亡くなって。


で。


施設に。
来た、みたい。




記憶にない、両親も。
祖父母も。



、、、、俺のこと。




すげー、、、。
可愛がってたって、、、、



亡くなる最期まで。。。




俺を。
心配してたって。。、。




俺さ、、、
信じてあげられなくて、、、
」




気づかなかった
愛を知る。





愛されてる。
実感は無くても。





信じれば。
そこに、愛は。
ある。






あなたの中に。






あるよ。






風磨の流す綺麗な涙の
隣で。
私は。
感じてるよ。






「、、、その愛情は。
風磨の中で、生きてる。



、、、。


だって。


私。


今。


すごく幸せ、だもん。
」





１人じゃない。





「、、、それから。。



、、、可愛い嫁さんがいる。
Aって名前で。




何度。
手を離しても。
何度。
諦めようとしても。




どうしても。
Aじゃなきゃダメなんだ。




Aと。



どんな未来も。
2人で。
乗り越えていきたい。
」






手をつなごう。

ぎゅっ、と。

ぎゅっ、と。





また、怖くなったら。
その手を。
ぎゅっ、と握りしめればいい。





このまま。
ゆっくり歩こう。







時には、泣いたっていいんだ。








でも。
その手だけは、離さないで。









「、、、子どもとか、欲しい。
手をつないで。
みんなで。
公園とか行きたい。
」
涙目で、にこにこしながら
風磨が楽しそうに話す。


「うん。」



「運動会で頑張っちゃって。
パパ来ないでとか、言われて。

子育てに悩んで。
女の子だったら、嫁にはやらない、とか
言って。


子どもらが大きくなったら。
2人で、たくさんデートして。


お腹なんて、どんどんボヨボヨになって。
お互いシワができたって、笑いあって。
」






「うん。」






「じぃちゃんとばぁちゃんになったら。
シワシワの手をつないで。
花火を見よう。

あの場所で。


ね、A。」






.







ぎゅっ、と。
抱きしめる。








「まずは。
キスしてくれる？」
そう。
甘えたら。





唇に。
優しい温度が。
降ってきたんだ。

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