の続き ページ46
大きな音が、はじまった。
足が止まる。
帰り道は、ここを左。
「はじまっちゃったね、
急ごう。」
そばに。
居てほしいんだ。
目が合う。
Aのその瞳に。
俺が、うつっていた。
視線が交差したまま。
一瞬の沈黙。
これが、チャンスだよね。
「バックレよ。」
強引だったよね。
「えっ、、、でも。
ジュース。、、」
聞こえないフリをした。
Aが立ち止まる。
「早くしないと、終わっちゃうから。」
俺は強引に、手を捕まえて
歩き出した。
.
たどり着いた場所からは。
本当によく、花火が見えたんだ。
.
「ここから、すげぇ花火見えるってさ。
知ってたんだけど。
さすがにあの人数は、無理だからさ。」
言い訳。
大きな大きな花火が。
次々に打ち上がる。
Aの顔に。
それが反射する。
「あのさっ。」
「ん?」
「まひるだよね?、名前。」
本当は、知ってる。
わざとらしく、聞く。
「そう。桐山まひる。」
「そっか。
俺の名前は。」
「菊池風磨。」
知っててくれたんだ。
「知ってた?」
「うん。有名人だから。」
「ふっ。そうなんだ?」
嬉しかった。
俺の名前を呼んでくれるだけで。
ひろがる花火の大きさみたいに。
気持ちは。
膨らみ。
数えきれないスピードで
上がっていく。
一瞬。
静かになる。
「もう。
終わりかな?」
「ねぇ。」
隣を見上げる。
「手。貸して。」
馬鹿みたいだって。
わかってるんだ。
自分で何をやってるかも。
わかってるんだよ。
ただ。
好きを。
コントロールできない。
今なら、俺は。
すべての“偽り”やどんな大きな“不安”が
襲ってきても。
立っていられる気がするんだ。
Aの左手を奪う。
愛おしくて。
どうにか、なりそうだ。
「これ。あげる。」
Aの薬指に。
おもちゃの光る指輪を。
ゆっくりと。
はめた。
キラキラして。
このドキドキが。
指を伝うんじゃないか。
心配で。
空気を呑んで。
気持ちを落ち着かせる。
「ありが、、、、」
・
「結婚。
しよっか?」
・
この気持ちは。
嘘じゃないよ。
俺の嫁さんに、なってくれませんか?
Aとなら。
.
健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも。
愛し、敬い、慰め、助け、
命ある限り、
Aに真心を誓える。
そんな気がするんだ。
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あひる(プロフ) - さやぽんさん» 読んでいただいてありがとうございます!心が震える、、、なんて嬉しすぎるコメントありがとうございます。がんばります! (2018年4月8日 17時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
さやぽん(プロフ) - 久しぶりにこちらに来ました。やっぱりあひるさんのお話大好きです!読む度心が震えます。次回作も楽しみにしています! (2018年4月6日 3時) (レス) id: 561c5b3bd1 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - クンミンさん» 映画って、すごく嬉しいです♪その言葉を胸にがんばります! (2018年3月8日 23時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - イチさん» いつもコメントありがとうございます!これからも読んでいただけると幸せです。よろしくお願いします♪ (2018年3月8日 23時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
クンミン(プロフ) - 長編お疲れ様ありがとう。毎回映画を観てるようで泣いたり辛くなったりほっこりしたり。素敵な作品でしたありがとうございます(^^) (2018年3月5日 7時) (レス) id: 1f2e7aa42e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ahiru3hapinkdesu | 作成日時:2017年6月18日 21時