言い訳 ページ33
「、、、だからさ。
そう。
菊池家に、認めさせる必要があった。
俺が、次期当主だって。
そのために。
じぃちゃんが認めた人と
18歳の誕生日に結婚する。
それが、条件だった。
それで。
あいつの許嫁だった
Aと。
結婚するのが早いと思った。
」
「、、、、うん。」
怒りや苛立ちが
心の中で、波を打つ。
でも。
それよりも。
悲しかった。
「Aが。
あの子だったんだ、
って気づいたのは。
花火大会の次の日。
じぃちゃんが。
秘書に探させた写真を
偶然見たんだ。
、、、本当に。
驚いた。
これは、神さまが。
出会わせてくれたんだって。
本気で思った。
運命だって。
昨日、一緒に花火を見た子が。
じぃちゃんが探してた許嫁だったなんて。
」
風磨の鼓動が。
ドクドクと。
聞こえてくる。
「、、、。
あぁ。
でも、それも。
違うか。」
さみしそうに風磨が話をする。
「それは。
俺の言い訳。
結婚。
しなきゃいけないって。
いざ、目の前に並べられて。
とにかく、誰かと。
早くって。
俺は、怖くなったんだ。
嘘だらけの、自分に。
施設出の自分の、素性もわからない。
もし、知らない親が、DVやニグレクトで
俺を捨てたとして、その血が流れていたら。
俺も、そんなヤバイ親や夫になるんじゃないかって。誰かを深く傷つけるようなやつだったら?
結婚。
俺には。
怖くて、たまらなかった。。。
」
「、、、Aなら。
Aとなら。
できる気がしたんだ。
そばに居たい、って。
思った。
このまま、ずっと。
永遠に。
花火が終わらなければイイって。
だから。
つい。
言ったんだ。
結婚しよっか、って。
」
捨てられた子犬のように。
震えてる風磨の鼓動を感じながら。
騙された経緯を話してるのに。
これも、嘘かもしれないのに。
それでも。
弱くて。
はじめてみる、素の、
裸のその人を。
跳ね除ける術が
わからなかった。
「信じてもらえないだろうけど。
、、、。
俺。
しあわせだった。
家に帰ると。
Aがいて。
毎朝。
Aとごはん食べて。
同じ匂いの洋服を着て。
その気持ちを。
どうやって、伝えれば良かったのかな。
」
そこまで言って。
風磨は。
私の身体を
胸から引き剥がした。
「、、、ありがとう。
俺なんかのお嫁さんになってくれて。」
「しあわせに。
なって。」
止まった車から。
風磨は、降りていき。
.
そのまま。
いなくなった。
687人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あひる(プロフ) - さやぽんさん» 読んでいただいてありがとうございます!心が震える、、、なんて嬉しすぎるコメントありがとうございます。がんばります! (2018年4月8日 17時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
さやぽん(プロフ) - 久しぶりにこちらに来ました。やっぱりあひるさんのお話大好きです!読む度心が震えます。次回作も楽しみにしています! (2018年4月6日 3時) (レス) id: 561c5b3bd1 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - クンミンさん» 映画って、すごく嬉しいです♪その言葉を胸にがんばります! (2018年3月8日 23時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - イチさん» いつもコメントありがとうございます!これからも読んでいただけると幸せです。よろしくお願いします♪ (2018年3月8日 23時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
クンミン(プロフ) - 長編お疲れ様ありがとう。毎回映画を観てるようで泣いたり辛くなったりほっこりしたり。素敵な作品でしたありがとうございます(^^) (2018年3月5日 7時) (レス) id: 1f2e7aa42e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ahiru3hapinkdesu | 作成日時:2017年6月18日 21時