Secret Chests 2 [f.k][k.n]

罠 ページ4

長い廊下。
イツメンと歩く日常。
たわいない会話。



油断してた。



だから。



その壁の向こう側に。



Aをみつけて。
俺は。
焦ったんだ。
あきらかにヒドくぶつかったのは
Aのほうで。

それなのに。
強がって、何もなかったみたいに
歩いていく。

慌てた俺は。
不自然に教室に、足早に戻って。
探して。

いなくて。

同じデカイポスターを運ぶクラスメイトを
手伝うフリをして。

用具室に
Aを探した。




案の定。

おでこにケガをしてるAをみつけて。
居ても立ってもいられなくなった。

保健室に連れて行こうとしても、
見られたらマズイって、拒否られて
ますます、慌てる。



「先に行って。
見られたらマズイし。」
Aのその言葉をちゃんと聞いていたら。

「別にポスター運んだだけだし。
大丈夫だろ。
」
俺は、ほんの一瞬でもAと2人で
いられたことに調子を狂わせていた。



2人で用具室を出て。
扉の前。
「だいじょうぶ、、、だから。」
そう言って
俺の手を
払ったAに。
俺は調子に乗ってた。
「ったく。」
ワザと悪態つく俺に、
Aはすぐそばで見上げて。
拗ねた顔で、俺を一瞬睨んで。
振り返らずに、教室へと歩いていった。



拗ねた顔。
俺だけに見せる、その表情は
怒っているんだろうけど
甘えてもいるようで。
可愛くて。
どうしようもなく
独占欲が、湧いて出て。



完全に俺は。
ニヤケていた。



どうせ。
俺の前で素直じゃないだけで。
保健室に来るだろう、と予想して。
待ち伏せした。
また、2人になれることを
期待してた。

そうじゃなくても。
話したかった。

そばにいたくなった。

例え仮面の会話でも、その秘密は
誰も知らない2人だけの暗号だ。
それがたまらなく嬉しかった。



予想に反して、仲が良い、いつもの子と
一緒だったから、
少しガッカリしてた矢先。


「ふうまくーん！」
邪魔な甘ったるい声がして。
嫌な予感が、飛び込んだ。



この状況を。
まずは誤魔化さないといけない、って
真っ先に思って。

彼女に従う。

絡められる華奢な腕を。
払えない自分に嫌気がさした。




保健室から出て。
しばらく廊下を歩いた時だった。




「ねぇ、ふうまくん。
なんで保健室にいたの？」
その言い方は、答えを知っている
言い方だった。

「あぁ、、、サボりっつーか。。。」

「桐山さんと仲がイイんだね。

さっきも、用具室の前で
イチャついてるの見ちゃった。。」


不敵な笑みの罠に落ちた。

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