Secret Chests 2 [f.k][k.n]

事情 ページ30

はじめて。
公園で出会った、あの日から。


公園で、よく遊んでいたんだ。



あいつと。
あの子と。
俺と。
三人で。


俺は。
いつも心配だった。


あの子が、また倒れてしまうんじゃないかと。


あの子のことを
目で追いかけて。


追いかけて。


追いかけるたびに。




あの子は。
あいつの前で、ふわふわと笑い。




安心したように、大人たちは。
「健人のお嫁さん」
だと、遠い目で話をしていた。




近づきたくて。




あの子には、近づけなくて。




この子じゃない、、、。
という目で。
もう一度見られるのが怖くて。





君が知っている
風磨ではない、俺を
見透かされるようで。





いつも。
一歩。
遅れる。





ただ。




強烈に。






そう、強烈に。








強烈に。








あの。
じぃちゃんの。
秘密のチェストの中。





俺の足元に。
隠れた君を。
Aを。






奪われるわけには
いかないと。







強烈に。








感じた。









あの日から。









俺は。
きっと。

恋を。
知った。









.









大人の事情。


そんなふうに、周りの大人達
は、口々に言った。


突然。
けーくんが、いなくなった。







菊池家に。
第1の
後継者がいなくなり。







フェイクの俺に。
自然と白羽の矢が立った。







大人の事情。

じぃちゃんの話では。


けーくんは。
父親の仕事のために
菊池の家を出て行き。


Aは、遠いところへと
引っ越ししたのだと言う。
振り回すわけにはいかないと。
おそらく、距離を置いたのだろう。




俺は。
じぃちゃんに。
大切に育てられ。




2人のことは。
遠い昔のことになって。
時間は。
あっという間に、過ぎていき。






だんだんと俺の記憶も曖昧になっていく。






フェイクだった、俺は。




フェイクを重ね。
フェイクは、積み重なり。




重なり続けて。






菊池風磨は、
俺になった。







俺は。
俺の手で。
菊池風磨を
塗り替えた。









そんな。
ある日。









あの夏。
社会勉強に、と言い含めて。
ようやく始めたバイトで。









「菊池くん。
この備品。、、あっちのほうにいる
桐山さんに持っていってくれる？」




「はい。。。
わかりました。」




重いカートンを抱え。
人混みをかき分けて。




みつけたのは。





「いっしょにあそぼ！」





小さい子に囲まれて。
ニコニコ笑う。
なぜか、懐かしい。
その子。

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