Secret Chests 2 [f.k][k.n]

嫌い ページ22

強く睨む。
眼差しに。

視線を外せない。

「、、、ごめん、、、。」
弱々しく、言葉を吐くけど。
言い訳が頭に回らない。



風磨の手が
頬の上
厚い化粧を拭うように
ゆっくりと這う。

その
長い指に
ピンクのチークと肌色がこびり付く。

荒い息が
メイクの落ちた頬にぶつかる。


交差した視線を
まばたきが
リアルな世界へと戻す。


「、、、はっ。」
我に返ったように
風磨は、自分の指を眺めて
ギュッっと拳を握った。


その後、
私を見た表情は。
かなり動揺してて。
揺れる瞳は、涙を溜めて。
ただ、行き場のない視線を
私に委ねているようで。


このまま。
視線を外してしまえば
すべてが終わるようで。
でも、今起きた感情を
どうしていいか
わからないみたいに。


呆然と私をみつめる。




わからない、私だって。

なんだろう。

どうすればいいか。




このまま、身体を引き剥がせば。
なぜか弱々しくみえる風磨を
もっと 落としてしまいそうで。

それなのに。
憎い気持ちが 目の前で増幅していく。

私を捨てた、この人は。




何をしてるの？




「、、、。
嫌なんだって。

ダメだろ。」



何を言ってるの？




「、、そんな服着てんじゃねーよ。
」



、、、声が震える。




「、、なにしてんだよ。。。

そんな化粧して。



そんなんで
、、綺麗になんて、なるなよ。
」




「、、、、、、、、、嫌、なんだよ。」





「、、、どうしようもなく、、、

嫌でたまらないんだよ！、、」


拘束された手首を掴む強さが
徐々に強くなって。
痛くなっていく。



「、、、
手を離したんだ。
自由になれば。
Aらしく、生きていけるんだろうって。

それでイイって。

それがAのため、だって。



、、、。
何度も。
何度も。


何度も。
何度も。



自分に言い聞かせて。





、、、、言い聞かせて。
」




その私を睨む目から、
涙が伝う。

私を、心から嫌いだと。
目が訴えてる。



「、、、。。
もう。

終わったのに。



Aとは。
終わったって。。。



離婚。
したんだ。

もう。
俺の嫁さんじゃないだろ？




、、、どうして。
俺は。」




「嫌なんだよ。。。
どうしようもなく。

嫌なんだよ。
」



「、、、誰か好みの化粧してるだけで。
、、、服着てるだけで。

たったそれだけで。

そんなことにも、俺は
耐えられないんだって。

怖くて。
Aを奪われるのが、怖くて。

怖くて
見ていられなくて。
」



「ダメだ、、、俺。」

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