ままごと ページ3
キツイ坂を上った、先にあるその公園は。
かすかな記憶よりも
だいぶ小さかった。
住宅街のど真ん中。
高い建物に囲まれて。
緑もほとんどない。
建物の影が。
ぶらんこも、すべり台も。
覆い隠している。
平日の昼。
なのに。
誰もいなくて。
気味が悪い気もした。
公園を見渡せる入り口で
2人並んだ。
眺める光景。
「ココ。
よく遊んだ公園。
」
ニコッと無邪気に笑う王子は
それだけ言い残して。
前を歩いていく。
「なつかしい。」
1番そばにある、古ぼけたパンダの
遊具を片手で揺らして。
優しく撫でたら。
また、歩いていく。
入り口の前で。
私は。
足がすくんで。
一歩を踏み出せないでいる。
優しい風が。
吹いている。
「どう？
思い出した？
よく。
遊んだんだ。
ココで。
僕と。
君と。
あいつと。
」
空は遠くて。
その高さを測るように。
王子は。
見上げていた。
「僕には。
君にはじめて会った時の記憶はない。
それぐらい、小さい頃から。
君は、僕のそばにいたんだよ。
気づいたら。
もう。
君は。
僕のお嫁さんで。
ずっと。
そう思って。
そう感じて。
それが、あたりまえだったからさ。」
空から。
地上へと視線を落として。
戸惑う私の気持ちなんて
お見通しで。
それでも、道を開くように。
中島健人は。
自信ありげに。
優しくふわっと笑った。
「父親が。
事業に失敗して。
あの家を追い出されて。
僕らも。
家を出て。
住む場所も。
家族も。
友達も。
いなくなって。
許嫁まで、奪われた。
、、、
なんてね。
悲劇ぶるつもりはなかったけど。
思い出して。
君は。
僕を好きだった。
だろ？
」
視線の先に。
大きなすべり台があって。
その色が。
頭の中のデジャブと
戦っている。
見覚えがある。
だけど。
認めたくないよ。
ずっと。
風磨が好きだった。
私達は。
あの夏のバイトで知り合って。
花火を一緒に見て。
距離が近づいて。
風磨に見てほしくて。
髪を染めたり。
化粧したり。
風磨好みの女の子になりたくて。
可愛いって思われたくて。
いっぱい背伸びして。
恋をして。
大好きで。
少しずつ。
風磨は。
私を選んでくれた。
はずだよね？
ねぇ。
風磨。。。
「おぼえてる、、、。
すべり台の上で、
ままごと。
したよね？
」
涙が。
頬を伝っていく。
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あひる(プロフ) - さやぽんさん» 読んでいただいてありがとうございます！心が震える、、、なんて嬉しすぎるコメントありがとうございます。がんばります！ (2018年4月8日 17時) (
レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
さやぽん(プロフ) - 久しぶりにこちらに来ました。やっぱりあひるさんのお話大好きです！読む度心が震えます。次回作も楽しみにしています！ (2018年4月6日 3時) (レス) id: 561c5b3bd1 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - クンミンさん» 映画って、すごく嬉しいです♪その言葉を胸にがんばります！ (2018年3月8日 23時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - イチさん» いつもコメントありがとうございます！これからも読んでいただけると幸せです。よろしくお願いします♪ (2018年3月8日 23時) (レス) id: ac87b36997 (このIDを非表示/違反報告)
クンミン(プロフ) - 長編お疲れ様ありがとう。毎回映画を観てるようで泣いたり辛くなったりほっこりしたり。素敵な作品でしたありがとうございます(^^) (2018年3月5日 7時) (レス) id: 1f2e7aa42e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ahiru3hapinkdesu | 作成日時：2017年6月18日 21時
